議事録

   

第162回国会 経済産業委員会 第16号
平成17年5月18日(水曜日)

 

 

○河上委員長 次に、大畠章宏君。
○大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。
 私の方から、今回の不正競争防止法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきますが、この質問に入る前に、前回、質問をさせていただいたときに、大臣に対して申し上げたことがございます。
 最近の日本の企業活動というものを総じて考えると、競争、競争ということで、いわゆる本質ということを忘れて、競争に勝てばいい、とにかく勝ってこい、激しい競争の中で勝てというメッセージが小泉総理から出されていて、とにかく苛烈な競争社会に入っていることは事実ですね。それで、雪印の問題があって、三菱ふそうの問題があって、そしてジェー・シー・オー、関西電力の美浜原子力発電所の事故等々を踏まえて、日本の経済産業大臣として警告を発すべきじゃないかと。要するに、安全だとか人間性というものをないがしろにして走った場合には、その企業そのものの存続が危なくなるというような、やはり経産大臣として警告を発すべきじゃないかという御質問をさせていただきました。
 大臣も、そういう認識は一致していますという話でございましたが、残念ながら、JR事故、例の西日本での鉄道事故が起きました。まさにこれも、安全を軽視して、とにかく利益確保に行く。要するに、安全よりも利益、安全よりも効率という、日本の社会全体の社会的な流れの象徴的な事故ではないかと思うんです。
 改めて、大臣、この事故を契機として、日本の経営者といいましょうか、あるいは企業といいますか、あるいはまたその従業員に対しても、心持ちをもう一回、原点を尋ねて、何よりも安全を、そしてまた、やはり人間性というものをきちっと踏まえた上での競争原理に基づく企業活動をやれというようなメッセージを、小泉総理以上に大きなメッセージはなかなか出せないかもしれませんが、やはり、日本の産業界のトップに立つ大臣として、改めてそういうメッセージを出すべきだと私は思うんですが、この件についての大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○中川国務大臣 もうおっしゃるとおりでございまして、私が就任してからでも、就任した直後にあの苫小牧での石油コンビナートの事故がございましたし、美浜もございましたし、それからJRその他、大きな事故がございました。もちろん、こういう産業競争に勝ち抜いていかなければいけない、その要素の一つにスピードというものが要求される時代なんでしょうけれども、しかし、そのことと、安全性とか社会的責任等を差しおいてやっていいということではない。そう思っている経営者なり会社があるとすれば、それは完全に本末転倒といいましょうか、それはめぐりめぐって、今回、JRでは大変な犠牲者の方が出られたわけですけれども、いずれにしても、その会社の社会的責任、ブランドにかなり致命的な影響になってくるわけでありますから、めぐりめぐってということにはなるんでしょうけれども、しかし、払われた犠牲は余りにも大きいということであります。
 そういう意味で、安全とか、あるいはまた安全文化という言葉が美浜のときにも随分使われましたけれども、先ほど渋沢栄一翁の話が出ましたが、渋沢栄一さんは、企業が金を残すは下、企業を残すは中、人を残すが上なりという有名な言葉がありますけれども、まさに企業文化というのは人から成っていて、人が文字どおり企業の中で働いていく、その企業は社会とともに歩んでいくという認識をもう一度、事故を起こしたからということではなくて、こういう産業事故が続発しておりますので、きちっとした形でもう一度原点というものを見直していかなければならない。私も機会あるごとに、こういう委員会でいろいろ御指導、おしかりを受けながら、関係業界にはいつも申し上げるようにしているところでございます。
○大畠委員 今お話がありましたけれども、大臣にぜひお願いしたいことは、小泉政権、何かブレーキの壊れたダンプカーのように、とにかく、どこに行くかわからないけれども、どんどんスピードを上げてある方向に向かっているんですが、どこに行くのと言ったって答えない。とにかくおれは走るんだ、走るんだ、これをとめようとするのは抵抗勢力だとか守旧派だというので、とにかく進んでいるわけですが、やはりブレーキのないダンプカーなんというのはだめなんですよ。
 だから、大臣には、ぜひ小泉政権のブレーキ役というのか、要するに、余りスピードをオーバーすると、脱線したり、大変な事故になりますよと。だから、ぜひ総理も、まあ聞く耳を持っていると言うんですが、どうもそういう耳がないようにしか私は考えられないんですが、大臣には、そういう意味で、このJR西日本の鉄道事故というものを契機として、亡くなられた百七人の方に誓って、やはり日本の経済としては、法定速度を守り、何よりも安全や人間性というものを大事にした企業活動を行うということをぜひ誓っていただきたいと考えております。
 そこで、実は私、いつも、このいただいたある手帳があるんですが、「王道」と書いてある手帳ですが、その中に、この経営者の方は「安全第一 奉仕第二 収益第三」と書いてあるんですね、経営の信条。今の社会は全く逆で、収益第一、奉仕が第二、安全第三、こういう形に成り下がっているんじゃないかと思うんですが、ぜひ私は、日本の、この委員会の質疑を聞いている方にも、やはり安全第一なんだ、人間性というのをもうちょっとベースに置いた形の経営活動の強化をしようということに改めていただきたいと思います。
 そこで、この不正競争防止法の改正案に入りますが、日本の経済の中でもさまざまな状態がありまして、先ほど吉田委員からもお話がありましたように、中国というものが非常に注目をされています。模造品あるいは海賊版というものが横行しているわけですが、この問題は問題としながら、後ほど取り上げたいと思うんですが、最大の不公正な状態というのは、元の問題なんですね。ドルと元が連動していますが、これに対する不満が非常に高まってきていまして、アメリカからも、中国に対する要求といいますか、もう切り上げなさいという要求をしているんですが、私の知人、中国人の知人に言ったら、日本と同じようにするよと。それは何かというと、日本も東京オリンピックの後、為替の変動制に切りかえたじゃないか、中国ももちろんそれは考えているんだという話なんですが、中国のオリンピックは二〇〇八年ですよね、あと三年後。
 そういう意味では、いずれにしても、三年以内なのか三年なのかわかりませんが、元が切り上がるでしょう。そのときに、日本国内への影響ですとか、あるいは、既に中国に行ってしまった製造業関係がどんな影響を受けるのか。あるいはまた、技術レベルの高い分野というものは、戦略的に、本来は国内に置くべきなんですが、日本の企業経営者はどうも人件費が安いからといってこぞって中国に生産拠点を移しているんですが、このところが、元の切り上げがあった場合には逆に大変な状態になるんじゃないか。
 今から、私は、経済産業大臣として、中国に進出している製造業界に対して、そろそろこういう元の切り上げというものを念頭に置いた経営戦略をやるべきじゃないかというメッセージを出す時期に来ているんじゃないかと思いますが、この件についてお伺いしたいと思います。
○中川国務大臣 日本も、あれはいつでしたか、三百六十円から三百八円に一たんして、その後フロートにしたわけですけれども、中国の元問題、これはアメリカ、日本、非常に関心の高いところでございます。
 他方、大変な企業が中国に進出しておりますので、今、大畠委員御指摘のように、要するに、ドルペッグ、つまり人為的な元安誘導をしているというふうに世界の専門家は見ているわけですけれども、これは、日本みたいに余りにも中国との関係が深くなりますと、一長一短になるわけでございまして、中国で活動している企業の現地調達率がもう五〇%を超えているというデータもあるようでございます。ですから、一概に元を上げろとか下げろとかいうのは、これは車の両輪ですので、どっちが得かということは、多分一長一短ということになるんだろうと思います。ただ、人為的なかなり大規模な為替介入というものは、これだけの経済成長をしている国ですから、マーケットに任せていい部分という議論が当然日に日に強まってきているというふうに私も認識をしております。
 ただ、いろいろと中国のことをちょっと調べてみますと、中国の金融制度がまだまだ未整備であるとか、あるいはまた法制度がまだまだ未整備であるとか、そういうこともあるようでございますので、早くきちっとした市場ルール、あるいは投資ルール、経済ルールということが確立されることと、このマーケットが切り上げになるのか、マーケットに任せるのか、その辺は中国政府の御判断だろうと思います。いずれにしても、日本もそうですけれども、とりわけアメリカ、EU、特に繊維協定が廃止になった結果EUなんかも大変な影響を受けているようでございますから、この辺はG8と中国等との率直な話し合いの結果、中国政府が最終的には賢明な判断をされるものというふうに期待をしております。
○大畠委員 それは中国政府が適切な判断はされるんでしょうが、日本の国内の企業に対して私はそろそろ警告を発すべきだと思うんですね。
 私自身も製造業で働いていましたから、一ドル三百六十円から二百四十円、百八十円、百七十円、百五十円、もうバンザイだ、輸出してももうからないと。そして、その後、御存じのとおり、七十九円八十五銭まで、七十五銭でしたか、そこまで最大で入りましたね。もう輸出産業はだめだ、そういうあきらめ論に近いところがあったんですが、それから戻って一生懸命努力をして今日あるんですが、それと同じといいますか、中国でもそういうことになりますと、中国国内の製造業で日本に逆輸出するとか、海外に輸出するという企業は大打撃を受けると思うんですね。
 だから、今から日本の企業もそういうものに備えておけよ、そして、特に重要な部品関係は、無節操に中国に持っていくことなく日本国内でつくれと。もちろん、おおよその大手のところはそういう考えにシフトし始めていますが、特に中小企業関係がこぞってやはり中国に生産拠点を持っていっているんですね。ですから、そろそろそういう大激変が来るかもしれないというメッセージは、大臣として、日本の経済産業相として出しておくべきだと私は考えておりますので、ここら辺もぜひ大臣におかれましては適切な御指示を、情報発信をしておいていただきたい。それは要請をしておきます。
 さて、そういう中で、この不正競争防止法、今回この法律案が出されましたが、実は、きのう、おとといと日本・EU議員会議というのが開かれまして、ヨーロッパのメンバーが十数人見えていましたかね。イギリス、ドイツ、フランス、イタリアとか、そういうメンバーが来ていますが、やはり彼らの話も、中国における模倣品あるいは海賊版、この対策に非常に苦慮しているという話で、これは日本とEUで議員関係でも連携して模倣品あるいは海賊版の撲滅のために努力をしていこうということで意見が一致したところでございますけれども、今回の法改正でこの中国における模倣品、海賊版、こういう商品にどこまで対応ができるのか。
 もちろん、これは中国国内の法整備をやっていただかなければならないんですが、ここら辺に対する努力、中国に対する働きかけと同時に、日本国内でこの法の改正によって対応策をとろうとしているんですが、この課題について見解を求めたいと思います。
○北畑政府参考人 中国を初め外国における模造品あるいはにせブランド商品、コピー商品、こういうものがまじめに仕事に取り組んでいる企業に打撃を与えているというのは、我が国でも、あるいは先生御指摘の欧米でも、同じ認識であろうと思います。
 今回の法改正では、中国を初めとする外国での製造そのものは日本の法律では規制対象外でございますけれども、日本に輸入されて販売された場合に、不正競争防止法に基づきまして刑事罰の対象にする。それから、今国会で成立しました関税定率法が施行されますと、税関、水際においてこれの輸入差しとめができるようになる。こういうことによりまして、コピー商品、にせブランド商品の大きなマーケットであった日本でその市場が失われるという効果を持つと思います。
 このことを通じて、間接的に中国を初めとする外国でのこういった不正な商品の製造、これにブレーキがかかるものと理解をいたしております。
○大畠委員 実は、私も韓国に行ったとき、ある町の中のお店屋さんにガイドの人が連れていってくれたんですが、このお店の商品は全部にせものです、それを承知の上お買いくださいということで、にせものか本物かというのは私なんかはわかりませんね。スカーフだって本物以上に本物らしいスカーフが千円ぐらいで売っていたり、本当にブランド品のバッグとか何かも本物以上に本物に近いというか、本物を超えるような感じの商品が随分並べられていまして、これはどうなのかな、それを購入すること自体も犯罪行為になると思うんですが。
 かつての日本も、実は大体模倣から始まったんですね。海外の製品を買ってきて、ばらして、どんなふうにできているんだろうと。それをいろいろ模倣しながらそれに近づいていって技術力を高めていったという歴史的な事実もあるわけでありますが、ただ、今日のこの中国国内における模倣品のあり方というのは異常とも言えるような感じでありますから、私は、この法律で日本での水際も大事なんですが、中国政府に対してやはり日本としては言うべきものはきちっと言う。これはもう日本だけじゃなくて、アメリカともヨーロッパとも連携をとって、言うべきものはきちっと言わなきゃならないと思うんです。そういう努力はどういう形でされていますか。
○北畑政府参考人 さまざまな外交ルートを通じて中国に対してこういった不正なコピー商品、にせブランド商品について取り締まりをするようにということで要請をいたしております。中国側においても、その要請を受けて一部対応をしたというふうに聞いております。
○大畠委員 私自身、日本の物づくりというもの、あるいは産業というものを考えても、模倣品をつくり、あるいは海賊版をつくるということは、すなわち日本人のためにもならなかったし、そういうものを考えて、やはり中国政府に対しても、これは中国政府のためにならないんだ、中国の国民のためにならないんだということをかなり国際的に連携をとって、WIPOでしたか、世界知的財産権機構というのを通していろいろアクションをしているんだと思うんですが、かなり強力にやらないと、とにかく、雪崩を打って入ってきています。だから、水際も大事ですが、その製造をしている大もとのところに歯どめをかけるような対策がやはり同時並行的になされなければなりませんので、ぜひその点は日本政府としてもさらに力を入れていただきたいということを申し上げさせていただきます。
 それから、先ほど吉田委員からお話がありましたが、今回の法改正の中で営業秘密というのが規定されております。
 実は私の友人なんかも、私も今五十八歳ですけれども、企業の早期退職制度に基づいて退職された方が、海外の企業に再雇用で行って仕事をしているケースがございます。
 今回、「営業秘密」「役員又は従業者」「不正の競争の目的で、」とか「その営業秘密の管理に係る任務」についてと、いろいろ書いてあって、刑事罰がおりることになっていますが、ここのところは、先ほど吉田委員がお話ししたように、大変重要なところなんですね。
 不正を行うという目的を持ってやった場合には罰せられますよというんですが、ここのところが非常にあいまいで、当人としては、企業の中で得た技能、技術、あるいはノウハウといいますか、そういうものを企業秘密だから企業の中に置いていけといったって、先ほど頭の中にあるものはいいんだというお話だったんですが、そこのところが非常にこれからもめてくるんじゃないかと思うんですね。
 頭の中に記憶されているのはこの法律の対象ではありませんというお話がございましたが、再度、そこら辺は明らかにしておかないと、紛争の種になると思うんですね。ここのところを明らかにしながら、かつ、何かガイドブックみたいなのをきちっとつくっておかないと、当人としては、生きるために新しい仕事についた、しかし、それは営業秘密に当たるということで逮捕され、刑事罰になるというと大変混乱しますので、ここら辺はもっと明確にしておくことが必要だと私は思いますが、この件についてもお伺いしたいと思います。
○北畑政府参考人 刑事罰の対象にするということでございますので、慎重に、明確に、客観的にという御指摘は、御指摘のとおりであろうと思います。
 二つの点で御説明を申し上げたいと思います。一つは営業秘密というものにそもそも該当するかどうかということ、それからもう一つは退職後の部分についての工夫でございます。
 まず最初の営業秘密でございますけれども、これは、法律上、営業秘密として管理されていること、有用であること、それから公知になっておらない、非公知である、この三要件でございます。最も重要なことは、会社側でこれを営業秘密であるということで管理をしているというところが重要でございます。
 判例では、この管理の要素として、その情報にアクセスすることが制限されておることとか、アクセスできる人間の範囲が客観的に定められていること、こういうことがポイントだというのが判例でございます。
 私どもは、この法律が施行されます前からいろいろ説明をしたいと思っておりますけれども、営業秘密管理指針というのを私ども定めております。さまざまな判例を分析して、この範囲で企業として営業秘密を管理する、管理するときのマニュアルを示しているわけでございまして、こういうことをより明確にすることによりまして今のような御不安にこたえていきたいと思います。
 それから、退職者につきましては、今回の法律でも退職者全体に刑事罰の対象を広げたわけではございません。在職中にみずから相手側の企業に対して営業秘密を漏らすという申し込みをした場合、それから、そういう営業秘密を退職後に漏らすということについて相手側から請託があった場合、この二点に限定をいたしておりまして、そういう意味で、退職者全体に網をかぶせるということではございません。在職中にそういう実行行為の一部を行っておる悪質な退職者に限って刑事罰の対象にする、こういうことでございます。
○大畠委員 そうすると、もう一度ちょっと確認させていただきますと、いわゆる技能、金型ですとか旋盤ですとかフライスですとかそういう技能、そういうものはこの対象ではないということが一つですね。そういう体得した技能。それからもう一つは、設計者等では、もちろんコンピューターを駆使して図面をかくわけですが、その図面そのものは営業秘密になるわけですけれども、設計をしていくというノウハウ、ノウハウ等は頭の中に入っているわけですけれども、そういうものはこの法律の対象外であるということで受けとめてよろしいんでしょうか。
○北畑政府参考人 それぞれ、個別の退職時における、あるいは在職中の企業とその従業員の方の間での取り決めのいかんだと思います。
 私どもは、欧米と同じように、在職中及び退職時にどこまでが漏らしてはならない営業秘密かということを契約で明確にすべきであるというふうに考えておりますけれども、今、日本の企業の実態の中では、それが必ずしも普及はしておりません。これは、別途そういう契約できっちりすることということを進めてまいりたいと考えております。
 今御質問のありました技能とかノウハウ、これも、会社が特別その従業員の方に訓練をして、会社にとって重要な技術だ、技能だということであれば、その合意によってそれを営業秘密にするということは可能だと思いますが、一般的には営業秘密に該当しないケースが多いのではないかと思います。
○大畠委員 この問題、職を失った者にとっては大変重要な、生きる糧なんですね。あれがだめ、これがだめと全部抑えられちゃうと、一体何のためにこの二、三十年、あるいは四十年技能を磨き、技術をやったんだと。やはり再雇用する方は、その技能、技術、ノウハウ、これをもって、例えば経営のノウハウ、ゴーンさんも今度は、フランスの方のルノーでしたか、社長に兼務するという話ですが、あれだって一つの経営のノウハウですよね。
 ですから、私はそこら辺は十分現状を考えて対応すべきだと思いますし、これについては、企業の中に労働組合があれば、当然、一方的に従業員と経営者で、おまえ、ここにサインしろというような強制的なものじゃなく、やはり第三者が入って適切な形でそれが基準化されるべきだと私は思いますが、この辺についてはどう考えておられるでしょうか。
○北畑政府参考人 ここは、そういう契約を結んで一定の制限を加えるということと、それからそういうことについての処遇というのがバランスをとって考えられるべきだと思っております。
 私どもは、会社にとって重要な人材については、処遇面も含めて、そういう営業秘密がむやみに漏れないような防止策をやるべきだという指導はしてまいりたいと思っております。そういうのがまず基本であって、それで、極端な悪質なケースについて刑事罰を導入する。それから、現行法でも民事の請求はできることになっていますので、民事の請求ができる場合のガイドラインのようなものを、先ほど申し上げました営業秘密管理指針の中で対応してまいりたいと考えております。
○大畠委員 今の取り決めのところはどうなんですか。企業と個人では、やはり企業の方が強いんですよね。ですから、そこのところは、やはり労働組合があるところは労働組合の関与というものが一つの公平化を期するものだと私は思うんですが、ここら辺はどういうふうに考えておられますか。
○北畑政府参考人 基本的には事業者と従業員の話し合いの中で相場が決まってくるんだろうと思います。
 私どもとしては、契約を結ぶ際に、極端な不利な契約というのはやはり問題があるだろうということだろうと思いました。これは法律上の問題じゃございません。研究会におきまして、重要なコア人材の対応策ということについて今後検討していくことにしておりまして、その検討会の中でコンセンサスができるような努力をしてまいりたいと思っております。
○大畠委員 この問題、優越的な地位の利用では困りますので、そこら辺はぜひ公正かつ公平な観点から、無理やりそういう縛りをかけられるということがないようにこの法律の施行に当たってはしていただきたいと私は考えますが、そこら辺、何かもう一言ございますか。
○北畑政府参考人 法律の改正後の営業秘密管理指針の改定の中で対処してまいりたいと考えています。
○大畠委員 ぜひ、この件については、労働組合があるような企業の場合には労働組合がある程度その契約の状況について関与できるように、そして、従業員の方が不利益な立場での状況に追い込まれないように配慮していただきたいということを要望しておきます。
 さて、もう一つ、実はお伺いしたいことがございます。
 それは、今、不正競争防止法ということでございますが、特許の取得の問題で、どうしても私はぜひ御検討いただきたいというものがございまして、それは、まず、今特許を申請している内訳、いわゆる大企業、大手企業が出している特許の出願件数と、中小企業あるいは大学等が出している出願件数の比、あるいは数というのはどのくらいなのか。これは質問通告はしておらないんですが、もしもわかりましたら教えていただきたいと思います。
○小川政府参考人 正確を期すためには後ほどあれしますけれども、私の記憶では、件数としては中小企業の比率は十数%だと思います。それから、出願者数でいくと約半分ぐらいではないかと思います。
○大畠委員 約半分というのは、出願件数では大手企業が半分、それから中小企業が半分ということですか。
○小川政府参考人 こういうことでございます。
 国内出願をしております内国人の出願について、まず、出願の人数、出願人でいきますと、大企業、中小企業、約半々でございます。出願人数ベースです。(大畠委員「件数は」と呼ぶ)
 件数でいきますと、大企業はやはり多うございますので、中小企業が十数%ということでございます。
○大畠委員 それで、実は前回この法改正がございまして、審査請求のコストが、料金が非常に上がりまして、入り口のところで非常にハードルが高くなったんですが、アメリカの例を見ますと、いろいろアメリカも、国も、問題点もございますが、いいところも両方いろいろあるんですね。その中で、私はすばらしい考え方だなと思うのは、小規模企業、五百名以下の従業員数を有する企業、あるいは非利益団体、大学、研究機関、こういうところは特許の申請料を半額免除するという制度をアメリカは持っているんですね。
 それは何かというと、やはりできるだけフェアな状況をつくろう、小規模企業あるいは大学とか小規模の研究機関、そういうところは出願のコスト、料金についても半額にして、大いにそこで特許を取得して、これから頑張れというような競争ルールをつくっているんですが、日本においても、大手企業の出願というものの費用と小規模企業者の出願に対する料金の負担というのでは非常に違うんですね。だから、この点はアメリカのこういう考え方を導入して、小規模事業者の出願については料金を半額にするという制度を私は導入してもいいのじゃないかという感じがするんですが、この件についての御見解をお伺いします。
○小川政府参考人 まず、現在私どもが行っております中小企業に関します特許料金制度について少し御説明させていただきたいと思いますけれども、まず、研究開発型の中小企業につきましては、これは減免の対象にしてございます。それから、資力に乏しい中小企業、個人事業ということで、特にベンチャーの場合は、創立間もない場合、設立間もない場合は赤字でございますので、そういう観点から、ベンチャーを支援するという意味で、資力に乏しい法人についても減免の対象にしてございます。
 それから、中小企業の支援三法、いわゆる三法の認定事業者等につきましても減免の対象にしておるところでございますが、今回新たに、中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律というものを成立させていただきましたので、そこでの対象になります、いわゆる新連携と言われております認定中小企業者も減免の対象にさせていただいているというところでございます。
 それから、アメリカのスモールエンティティー制度について我々もいろいろ勉強させていただいておりますけれども、かつてアメリカが特許料金を全体を上げるとき、四倍ぐらいに上げる計画があったときに、いろいろな国内の議論がありまして、スモールエンティティー、中小企業、個人、そういったものにつきましては上げ幅を半分にするということでございまして、今、日米を比較いたしますと、大ざっぱな比較でございますが、日本の大企業の平均の特許関連の今の料金、それとアメリカのスモールエンティティーの対象になっている分の水準が大体同じぐらいでございます。
 そういう中で、仮にいろいろな制度を、料金をいじるとした場合に、特許特会というのは、利用者からお金を集めさせていただきまして、それを実際の手続に充てる、そういうことでございますので、どこかを下げるとどこかを上げる、そういうバランスの問題が一つございます。
 それから、今四十二、三万件の出願が毎年来ておりますが、これに対する影響、そういったものも考えなきゃいけないと思いますが、今の実態と、それから中小企業の置かれている状況、それから海外の状況を踏まえまして、いろいろ研究させていただきたいと思います。
○大畠委員 一つは、大手企業の出願件数と中小企業の出願件数の実態というものをぜひ調べて、当委員会にといいますか、教えていただきたいと思いますが、これは委員長に、ぜひそういう実態を教えていただくように、理事会で諮っていただきたいと思うんですが。
○河上委員長 後刻理事会で協議いたします。
○大畠委員 それで、私は、今お話がありましたが、どうも今の基準ですと、裁量の余地というのが、要するにあいまいな感じがするんですね。減免措置を講じていますと言うんですが、これは減免の対象なんでしょうか、これはどうなんでしょうかと言う。そうすると、うん、ではあんたの場合は減免してやろう、あんたはだめだよ、そういうあいまいさというのが日本には非常に多いんですよ。
 ですから、例えば従業員、アメリカで言うように、五百人以下の企業だったら減免しますよとか、ベンチャー企業といったって、どこまでがベンチャー企業で、私はベンチャー企業なんでしょうかと一々お伺い立てなきゃならないんで、そこら辺はきちっと整理をして、私は明らかにしておくべきだと思いますが、再度答弁をお願いします。
○小川政府参考人 まさに先生の御指摘のとおりでございまして、私ども、今講じております中小企業の料金減免制度につきましても、より一層利用していただきたいと思っております。そのためにも、今一生懸命やろうとしておりますのは、手続面で、中小企業の方が順番にたどっていけば、自分が当たる、当たらないとか、何をやればいいかというのがわかりやすくなるような、そういった手続の見直し、簡素化というものをまず考えたい。
 それから、制度それ自身についてのまた周知度が足りないという面もあろうかと思いますので、いろいろな形で広報、普及というのも図っていきたいと思いますし、いろいろ出願のお手伝いをされます弁理士の方々にもお願いをして、広くこの制度について出願人の関係者の方々にわかっていただく、それから、その手順を簡素化していく、そういう見直しをやっていきたいというふうに考えてございます。
○大畠委員 現在、大きな企業がございますね。ホンダですとかトヨタもそうですし、日立製作所もそうでありましょう。最初は本当に小さな企業だったんです。日立もモーターの修理工場から始まりましたから。これはこれとしながら、やはり未来を切り開く企業を育てるということが私は非常に大事だと思うんですね。ですから、小規模企業者に対する、育てようという環境を整えることが私は非常に大事だと思いますので、この特許の件についても、先ほど研究していきたいというお話がございましたが、さらにこれは継続して、どういう形で小規模企業者に対する競争の条件を整えていくかということは、改めてぜひ検討していただきたいと思いますが、その件について最後に質問して、終わりたいと思います。
○小川政府参考人 先ほど御答弁しましたように、いろいろな問題、いろいろな課題がございます。そういうのをもろもろ含めて、研究をさせていただきます。
○大畠委員 終わります。

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