議事録

   

第164回国会 農林水産委員会-9号
平成18年04月20日(木)

 

 

○大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。
 私は、今回、政府の方から三法案が提出され、民主党の方からも一つの基本法が提出されておりますので、この四法案について質問をし、政府の基本的な考え方、あるいは民主党の基本的な考え方についてお伺いをさせていただきます。
 質問に先立ちまして、私は一つのある本の中でこのような文を目にしましたので、ちょっと御披露しながら、この基本的な考え方が大事だなと思いながらも、現在かなりの部分で農業も水産業も非常に疲弊しているというこの現実をどうやって回復させるかということが大事だと思いますので、ちょっとこの本の一部を紹介させていただきます。これは、「国家の品格」という本を書いた藤原さんのもう一つの書、「祖国とは国語」という本の中であります。
  地球上の人間のほとんどは、利害得失ばかりを考えている。これは生存をかけた生物としての本能でもあり、仕方ないことである。人間としてのスケールは、この本能からどれほど離れられるかでほぼ決まる。脳の九割を利害得失で占められるのは止むを得ないとして、残りの一割の内容でスケールが決まる。ここまで利害得失では救われない。
  ここを美しい情緒で埋めるのである。日本の官僚は省庁の利益ばかりを考える、と言われている。これをもっとも考慮した人がもっとも出世するからである。利害得失である。もし官僚の脳の一割に、もののあわれが濃厚にあれば、その判断は時に利害を離れることもありうる。
  たとえば日本の農業を考える時、経済的には外国から安い農産物を自由に輸入することが最善としても、すぐにそう決断しないかも知れない。農業の疲弊は田園の疲弊であり、美しい自然の喪失である。もののあわれは、四季の変化にめぐまれた日本の繊細で美しい自然により育くまれるから、この情緒も衰退するだろう。世界に誇るこの情緒は日本文化の淵源であり、経済上の理由で大きく傷つけてよいものだろうか、と反問するに違いない。こう考えることができるだけで、経済一直線の人に比べスケールの差は歴然である。時には美しい情緒を優先した判断を下すこともあるだろう。
  これら情緒は我が国の有する普遍的価値でもある。普遍的価値を創出した国だけが、世界から尊敬される。経済的繁栄をいくら達成したところで、羨望や嫉妬の対象とはなっても尊敬されることはありえない。
こういう文言でありまして、私も最近の日本の国の形を見ていますと、経済的に何とか世界に追いつき、そして立ち直らなければということが優先されていまして、この情緒とか、いわゆる田園風景から生まれる環境で、日本人がどれほど大きな影響を受けながら育ってきたかという、その郷土あるいはふるさとの恩恵というのですか、そういうものをどうも忘れがちなのではないかと私は思います。
 きょう、ちょうど自民党の梶山先生も理事でおられますが、梶山静六先生は、愛郷無限という言葉を残されました。この愛郷無限という言葉は、今日本の政治の中でどれほど尊重されているのか。ほとんど愛郷無限なんという言葉はなくなってしまった、私はそう思うんです。ふるさとというもの、あるいは農業、水産業のそういう環境の中で、日本人が大きく影響を受けながら今日を築いてきた、このことは私はもう一度考え直さなければならないと考えているところであります。
 さて、そういうところで、きょう久しぶりに私は農林水産委員会で質問をさせていただきますので、いろいろと農業をやっている人とか水産業の人からアンケートをとらせていただきました。
 このアンケートの内容は、幾つかあるんですが、一つは、外国産、外国から輸入される野菜等も、肉と同じように農薬使用基準というものに準じた使用基準を確保してほしいというお話ですとか、あるいは、地産地消の拠点となる直売所を充実させてほしいとか、あるいは、若者に魅力ある農業の発展を期待したいので、そういう意味で努力をしてほしいとか、非常に切実な御意見もございます。
 農薬問題、農薬の残留について、外国産農薬の基準というのがよくわからないと。やはり、我々農家として、国民が食べるものは安心して食べられるものにするためにも、外国産の輸入農産物の農薬残留の基準というものを明らかにしてほしいとか、地産地消という意味でも、直売所の整理とか後継者の問題についての御意見が大変多くございますので、こういうこともちょっと御披瀝をさせていただきます。
 さて、そういう中で今回質問をさせていただきますが、まず、このことについては、政府の方と民主党の方から両方御意見をいただきたいんですが、今いろいろと申し上げましたが、これまで、戦後六十年間の日本の農業政策において何が欠けていたんだと。平成十一年に食料・農業・農村基本法というものを制定しましたが、大臣、今、これまでの日本の六十年間を振り返ってみて、日本の農業政策において欠けていたもの、あるいは、何が問題で今回さまざまな法改正ということになったのか、その基本的な御認識を中川さんと民主党の提出者にもお伺いしたいと思います。

○中川国務大臣 今、大畠委員が冒頭申されたことは、ある意味では、これは人間の悩みの根源だろうと思いますね。
 中国の古典でいえば、衣食足りて礼節を知るとか、国破れて山河ありとか、もう二千年も三千年も前から賢人たちはこういうことに悩んでずっと来て、今の我々にとっても非常に重たい言葉であろうと。また、近世ヨーロッパでも、ホッブズの「リバイアサン」という本なんかもまさにそれを問うているわけでありますし、また、合理性だけでいいのかということになりますと、二百年ほど前のイギリスでの、マルサスとリカードとの人口と食料、経済合理性との大論争みたいなものもありましたし、そういう中で、日本においても、御指摘のもののあわれ、平家物語でも方丈記でも、あるいは本居宣長でも、先人たちがそういうものに悩み、そして、いろいろな教訓を残してきているわけで、「国家の品格」、私も大変いい本だなと思っておりますけれども、現在において問われている問題だろうというふうに思います。
 日本は、農耕あるいは漁業を中心にしてやってきた国家でありますけれども、何回か江戸時代以降においても飢饉があって、一番近いところでいえば、平成五年には大凶作があって、国民的パニックがあったわけであります。そういう中で、我々は、特に明治以降は、農村部が大変疲弊をして、そして近代国家の中で、ある意味では、人材といいましょうか、人間の供給源であると同時に、疲弊したときには最も最初に年寄りも苦しんでいくという、ある意味ではバッファーみたいな側面があったわけであります。
 したがって、戦後、日本が復興のときには、まず国民に対する食料の確保というものが国家の復興の最大の政策の一つであったわけでございまして、したがって、肥料とか電力とかそういったものに傾斜生産をしていくという方策をとったわけであります。
 そうしていく中で、都市と農村との格差がますます広がっていったという中で、昭和三十六年に農業基本法というものが制定されたわけでありますけれども、これは農業と工業、あるいは、特に最近ではIT関係は瞬時にして世界を駆けめぐるわけでありますけれども、生産活動とその効果において時間差がある。ITであれば一瞬、あるいは工業製品でも数カ月あるいは数日。ところが、農業は基本的に一年に一回、日本の場合にはおおむね一年に一回、こういう時間差と生産性の差、それから、農村部の農業者と都市部のそれ以外の二次産業、三次産業との間の所得格差、こういうものを是正していこうというのが農業基本法の趣旨であったわけでありますけれども、それだけでは、ただ生産だけして後は知らないよということになりますと、前回もここの委員会で申し上げたんですが、米の過剰問題とか、あるいはまた、他方、必ずしも消費者の支持を得ないことによることも原因で、輸入品の方がいいのではないかというような消費者の志向等もあって、これだけでは日本の食料政策、ひいては国民全体の政策にこたえることができないということがあったわけであります。
 そうしている中で自給率もどんどん下がってくるという中で、国民全体で食料政策を考えていこうということが原点になりまして、九八年、九九年、大変長時間この委員会でも御議論をいただいてできたのが新しい基本法なわけであります。これはもう法律に書いてあるとおり、単に生産サイドだけではなくて、食品産業であるとか消費者であるとか、それぞれのセクターでみんなで食料というものを考えていこう、また、国民共通の財産である農業、農村というものを考えていこうということで、みんなで、つまり、川上と川下、川下から川上という共生の関係で、みんなでこの大事な問題に取り組んでいこう、歴史の教訓をまつまでもなく、我々の生命あるいは子孫に対する責任という観点からも、みんなで考えて努力をしていこうという趣旨でできた法律が新しい基本法であるというふうに理解をしております。

○山田議員 大変大きな問題でありますが、ちょうど私、三十年少し前、田舎で、五島で牛、豚を飼っているころ、アメリカのニクソン政権のときに大豆を七十日間禁輸したんですが、その禁輸のときに、えさが倍に上がりまして牛の値段が半分に下がるという、日本では豆腐パニック、それが起こったことがありました。そのとき、イギリスの自給率が三七%、ドイツが六五%ぐらいしかなかったんです。それからドイツもイギリスも、自給率を徹底して達成するために、それこそ国を挙げて、今や九七%とか八〇%近い自給率にいたしました。
 ところが、その間、日本はどうしていたかと申し上げますと、いわゆる高度経済成長時代を迎えて、テレビや自動車を売る、そして農産物を買う、これが日本の生きる道だ、そういう方向を続けてまいったんじゃないか、そう思います。
 そういうことで、本来ならば、本当に食料安全保障、食の安全というものを大事に日本の農政そのものがすべきであったのに、産業、通商政策、これに国民すべてが踊ってしまって、気がついてみると大変な農業事情、食料事情になって、そして、農漁村は疲弊し、今日に至ったのではないか。
 確かに、中川大臣が申されましたように、食料・農業・農村基本計画等々において、これから農業を大事にしなければならないということに至りましたものの、例えば、この五年間で自給率はどうなったか。そして、この五年間で農業や漁業はさらにその生産は落ち込み、疲弊してきているというのが現状でありまして、このままでは日本の農業と漁業は、下手をするとつぶれていくんじゃないか。そうすると、日本の食料、日本の形というものはどうなるだろうかと私は大変心配しております。
 そんな折、我々は、本当に自給率を上げるためにどうしたらいいのか、食の安全を守るためにどうしたらいいのか、そういう趣旨で今回、基本法を出させていただきました。

○大畠委員 中川大臣も、そして山田提出者も、御認識は一致なんだと思うんですね。基本的に、過去の日本の戦後の六十年間の経済成長、とにかく戦後の復興をして、何とか国民が皆食える国をつくろうということで頑張ったことは事実です。その経済成長の陰に、食料や日本国内での食料政策というのがどうも一歩二歩後退して、経済優先という形で今日に来て現在の状況になっているんじゃないか、私もそういう認識を持っています。もちろん、先ほどちょっと読み上げさせていただきました藤原先生も、「経済的には外国から安い農産物を自由に輸入することが最善としても、」そういうくだりがありますが、大体そういう認識なんだろうと思うんです。
 そこで、そういう状況の中で、今回、農業の担い手に対する直接所得補償制度、あるいは、政府の方では品目横断的経営安定策というものを打ち出されました。これは私は当然だろうと思うんです。なぜこれまでこういうことをやらなかったのか。では、アメリカはどうなんだ、経済大国のアメリカはどうかというと、アメリカもやっているし、フランスもやっているんですね。
 なぜ日本だけが今日までおくれてしまったのかという感じすらするわけでありますが、もちろん、WTOに抵触しないように青の政策とか緑の政策ということでありますが、政府の、今回の品目横断的経営安定策をここに来て導入するという決断をした背景と基本的な考え方、それから、民主党の提出者にも、直接所得補償制度というものを導入しようとする法律案になっていますが、その背景と基本的な考え方について、お二人からお伺いしたいと思います。

○中川国務大臣 先ほど申し上げましたように、九八年、九九年に大転換をいたしまして、その法律が文字どおり基本法としてあって、五年に一遍基本計画を見直してということでございまして、ある意味では、その基本法の目的が前提にあるわけであります。
 そういう中で、今御指摘のように、WTO等の国際情勢もございますし、いよいよこれから、やる気と能力のある農業者あるいは農業集団が文字どおり主体となって、消費者に買ってもらえるような、喜んでもらえるような、あるいは食育に明記されておりますように、感謝されるような農産物をつくっていく。これは消費者サイドにとってもプラスになりますし、結果として農業側にとってももうかる。
 私は、大いにもうけていただきたいということが今回の法案の裏側に当然セットとしてあるというふうに思っているわけでありまして、やる気と能力があってこの施策を進めていったけれども、物は売れるけれどももうからないということでは、これは全く趣旨に反すると思っております。
 そういう意味で、消費者あっての生産者、生産者あっての消費者ということで、そういう形で支えていただく。基本法にありますように、国内生産を基本としての、その基本の部分を担っていただけるような生産サイドになってもらいたい。車の両輪として、先ほどの農地・水・環境対策はセットであるわけでありますけれども、そういう形で役割を果たしていただきたいという、ある意味では第二計画段階というか、いよいよ実行段階、生産サイドの方の実行段階に入ってきたというふうに認識をしております。

○山田議員 先ほど話しましたように、我が国は、テレビや自動車を売って経済成長を図り、農産物を諸外国から買うという政策を続ける一方、では、イギリスやドイツやヨーロッパはどうして自給率を上げたか。それを私ども、詳細に検討させていただきました。そんなときに、イギリスがどうやったか。イギリスの農家に対して七〇%から超える、いわゆる支持価格制度、農産物に対して。ヨーロッパ、フランスにおいても、そういった支持価格制度からデカップリング、WTOの枠内で許される限りの所得補償、いわゆる直接支払いをしてきた。
 日本は、直接支払いというものは全くというほどなされていなかった。日本においては、中山間地域の所得補償、これが二百億ぐらいですから、直接的な直接支払いは農家所得の〇・二%ぐらいしかなかったんじゃないか。そんなことで、これではどうしようもない。我々は、二年前から、直接支払いを必ずやらなければ、日本の農業、自給率は上がらないし、日本の農業そのものはつぶれてしまう、そういうことからその主張をしてきたわけですが、政府は、構造改革に反するから直接支払いはしない、そう言ってきておったものの、今回、初めて品目横断的な直接支払いを導入してきた。
 しかしながら、その内容は、全く私は期待できないものである。そういうことから、我々は、大胆な直接支払いを、そういう考え方のもとに今回、基本法として提出いたしました。

○大畠委員 今、山田提出者もお話あったように、どうも私は、日本の農業あるいは食料政策というのが、日本の大きな経済成長の陰で、どちらかというと軽視されがちな状況にあったんじゃないかと思うんですね。当然、アメリカでさえ直接所得補償制度というのを導入している中で、なぜ日本だけがやらなかったのか。私は、非常にそこら辺は、フランスもそうでありますが、日本のこの点での政策というのは一歩も二歩も十歩もおくれていたと。しかし、今回、政府の方がとりあえずそこに一歩踏み込んだ、山田提出者が言われるように、不十分ではあるけれども一歩踏み込んだということは評価したいと思うんです。
 そこでもう一つ、私は、経済産業委員会を中心に活動してきましたので、そういう意味からも懸念しているのは、中国とインドの経済的な大発展ですね。非常に大きな成長を遂げていますが、中国とかインドとか、そういうアジア諸国の経済成長に伴って食料事情も大きく世界的に変化するわけであります。
 そういう意味では、これから、アジアあるいは世界の経済成長に伴って日本の食料事情というのは一体どんなことになってくるのか、そんなことを考えると、果たして今のような、大臣には恐縮でありますが、貧弱な日本の食料政策では、実は、戦争状態になったときに、外国から食物が輸入されないときに、どんな対策をとるかと農林水産省がパンフレットをつくっているんですね。国民一人頭二千キロカロリーは保障しますという話なんです。
 しかし、あれはあれとして、非常のときに備えて考えておくことは重要だと思うんですが、果たして、アジアのこれからの変貌、二〇三〇年ぐらいを考えると、はるかに日本の経済力を凌駕して世界のトップに躍り出るんじゃないかというような話まで出ておりますが、そんなときの日本の食料確保策というのはどうあるのか、あるいは、日本の自給率、政府の方は四五%とおっしゃっておられますが、具体的にどうやってその四五とか五〇というものを達成するのか。ここら辺について、政府、大臣と山田提出者にお伺いしたいと思います。

○中川国務大臣 大畠委員とは、経済産業委員会でも随分議論をさせていただきましたけれども、去年、おととし、石油の値段がじりじり上がってまいりまして、随分議論というか、やりとりをさせていただきました。ついにきのう、WTIも、また北海もドバイも史上最高をつけたということでありまして、逼迫した状況の中で、今後二十五年、三十年の間に、需要の六割がインドを含めたアジア、その大宗がインドと中国になるわけでございまして、エネルギーも大変、食料も大変、そして、私が心配しておりますのは、もっと大変なのは水の問題だろう、食料の根源であります水の需要、需給のアンバランスというものが大変だと思っているわけでございますが、ここは農林水産委員会でございますので、日本の食料と世界との関係においては、御指摘のとおり、決して楽観できる状況にないというふうに思っております。
 先ほども申し上げたように、また山田提出者の方からもお話があったように、今は買うことができるという状況にあるわけであります。二百年前の理屈でいけばリカードの論理になるわけでありますが、マルサスは、いやいや、人口の増加というのはそういうものじゃないぞ、必ず食料危機が来るぞという指摘でありまして、歴史はそちらの方の、危機というものを何回も経験しているわけであります。そういう中で、生産サイドの方の問題、あるいはまた、仮に生産サイドが生産できても、輸送の問題、地政学的リスクでありますとか、いろいろな問題があるわけであります。
 そういうことで、端的に申し上げますけれども、どんどんどんどん人口がふえていく、あるいはまた、中国、インドのように経済発展をしていけば、水も、あるいは特に動物性たんぱくにおけるえさの問題においても、需要側には限界がある。文字どおり、算術的な増加か減少しかないわけですけれども、人口は幾何級数的にふえていくという根本的なミスマッチがあるわけであります。
 そういう中で、日本としては、先ほども申し上げましたが、国内生産を基本としてということで、国内生産を基本としてといっても、何といっても、自給率の話が先ほどから出ておりますけれども、消費者に好まれるものを生産しなければならない。先ほど篠原提出者の方からも、パンはほとんどがこれはもう国産の小麦では限界があるという問題が象徴的だと思います。そういう意味で、消費者に好まれるものをできるだけプロ的な、やる気と能力のある農業者がつくることによって、これは〇・一ポイントずつでもいいから上げていく。
 そのために、今回の基本法に基づく経営安定対策あるいは中長期的な視野も含めた水管理対策等々の環境対策が両々相まちまして、消費者とともに自給率を上げていく努力、地産地消、食育その他も含めまして、子供のころからの食生活も含めまして、総合的にやっていくことによって、我々は、それは五〇%、六〇%、あるいは、新聞報道でありますけれども、民主党の小沢党首は一〇〇%を目指すんだという報道に接しましたけれども、一〇〇%どころか、一二〇、一四〇と、フランスやアメリカのようになればいいんでしょう。
 世界に八億の飢餓人口がいるわけですから、できればそういう人たちに食料を、輸出というよりは援助も含めてやりたいと思っておりますけれども、この四〇という数字はいかにも低過ぎるわけでありますので、私どもは、着実に目標を設定して、毎年〇・一ポイントずつでも〇・五ポイントずつでもいいから、上げる努力を国民全体でやっていくことが、大畠委員御指摘のように、万が一とか、あるいは世界の食料事情に貢献するという観点も含めて必要だということで、大変難しいと思いますけれども、努力をしていかなければならないというふうに思っております。

○山田議員 中川大臣もおっしゃいましたように、世界の食料危機、特にアメリカで、この前視察に行ってまいりましたが、小麦の大生産地等々においては地下水がかなり下がってきている、中国においては黄河の利水に失敗して、そして世界全体で日本の農地面積以上のものが毎年砂漠化していっている。先般、一昨年ですか、オーストラリアは干ばつで小麦の輸入国に転落した、一時的でありましたが。そういったことを考えますと、地球の温暖化、そういったことから、世界の食料危機は間近なんじゃないか、そういう感じすらいたします。
 そんなときに、日本で自給率四〇%、これを、かつてドイツとかイギリスが一〇〇%近くまで上げるようにする具体的な政策を行った、かけ声だけではない。では、具体的にどうしたらいいかというと、やはりそれに対してお金を投ずること。例えば、三、四年前ですが、麦と大豆、それに対して反当たり七万三千円ぐらいの奨励金を出したときに、十年の目標が、二年でその増産が達成できた。それ以後はそれをやめたようですが、そういったお金を投ずれば実際に自給率を上げることができる。
 日本の遊休農地だけで三十八万ヘクタールもあるわけです。それに対して、私どもは、もう農業の公共事業とかあるいは無駄なかんがい事業とかといったもの、道路とか港湾とか橋とか、そういったものよりも、むしろ、麦を四百万トン増産するために、あるいは大豆を五十万トン増産するために、菜種をもう一度三十万トンこの十年間で増産するために、毎年一兆円、具体的に直接支払いをやっていく、そして必ず十年間で一〇%の自給率アップを達成する、それが今こそ必要である。
 そういう意味で、私ども民主党は、かけ声だけでなく、具体的に食料自給率、増産のためのいわゆる基本法を今回提案させていただきました。

○大畠委員 ありがとうございました。
 今、政府、提出者、大臣や山田さんからもお話がございましたが、日本の農業というのは、単に経済論理を優先してやればいいというものではない。これからの世界の流れというもの、あるいは環境の変化というものを考えたときに、これはまさに安全保障の一環としてかなり力を入れないと、これからの日本の未来を考えたときには乗り越えられないんじゃないか、そんな危機すら感じますので、今、山田提出者からも、また中川大臣からもお話がありましたが、ぜひ力を入れてこの農業再生に向けて努力をしていただきたいということを要望しておきます。
 次に、漁業問題について質問をさせていただきます。
 この漁業問題についてもアンケートをとらせていただきました。熱心な御意見もいろいろとございました。ここに、一人の方から御意見をいただいているんですが、「全国の漁業就業者は年間約一万人の減少をし続け、水産物の自給率は五三%まで落ち込む反面、輸入水産物は繁栄し、その一方で水産業の衰退には一向に歯止めがかからない水産業の現状を探るときに、獲る側だけの一面をみるだけではなく、大きな切り口でみるのもひとつの妥当性があるのではないだろうか。」「特に水産業に対しての国民からの支持基盤は極めて少なく、全国漁業者数二十三万人の弱小産業の」状況に至ってしまっている。「自由主義経済体制の中での水産業であるが、この様な観点からすれば、輸入水産物が漁業経営に甚大な影響を与えているにも関わらず、水産物以外に優るものも見当たらず、従って輸入水産物が原油についで量では第二位であることも」、輸入という意味での「第二位であることもうなずける。」「鉱物資源のない日本は、自動車産業を筆頭に輸出に頼らなければ国存亡の危機に至るわけであり、一方、グローバルWTO体制の中での保護主義政策の強化等はできるはずもない。」もっと漁業の実態について目を向けていただきたいというのがこの方の一つの御意見でもございました。
 さらに、オイルといいますか油の値段が高騰して非常に困っているというお話、それから、こういうことで漁業用資材にまでオイルの高騰が波及しており、廃業者が続出するんじゃないかと言われている、それから、魚の値段が安過ぎて、とってもとっても、魚をとる者にとっては収入が上がらない、そして、とったもので売り渡したものの価格の三倍から五倍で魚屋さんで売られている現状を見ると、とっている者としては非常にやるせない、こういうふうな御意見も寄せられております。
 もちろん、漁業経営の安定化のためには、漁業者の意識改革、それから漁協と行政の関係強化、あるいは漁協に公務員の優秀な人も少し派遣して、漁協の中の活性化にも協力していただけないかという話もございます。それから、漁協の体力が落ちているため、今後、将来に対しては不安を持っている。後継ぎ問題についても、後継ぎを自分の子供に継がせたいと思っているけれども、実際には継がせられないという考えが多くなってきており、それほど、漁業、魚をとっている、実際に作業をする者としては危機的意識を持っている。国はもう少し水産に目を向けてほしい、農業に比べて漁業に対する目の向け方が少ないのじゃないかという御指摘もいただいております。
 そこで、特にこのアンケート結果の中から二つの課題があるので、これについては政府の方にお伺いしますが、まずクラゲ対策。このクラゲ対策は本当に困っているというのです。クラゲ対策にもっと力を入れてほしい、みんなが競ってクラゲをとるような形のクラゲの利用方法は何か考えられないのか、こういうふうなお話が一つ。それから、オイルの値上がりがひどくて、三十円だったのが七十二、三円まで上がっちゃっていますから、倍以上に。したがって、オイルを使って魚をとると、漁獲の売価よりもオイルの値段の方が気になってしまって、途中でやめて引き揚げてくるというのが実態だと。
 だから、このクラゲ対策とオイルの値上がり対策、これはもう何遍もこの委員会でも出ているかもしれませんが、改めてこれについてお伺いしたいと思います。

○小林政府参考人 二点御指摘いただきました。
 まず、大型クラゲ対策であります。
 クラゲ対策としましては、防除対策とかそれから原因究明、いろいろな課題がございますが、その中でも、今お話ありました、これを有効活用できないか、これも一つの課題でございまして、この点について、食品とかいろいろな加工原料素材として活用の道はないかという、こういった研究も進めております。
 具体的には、今、独立行政法人水産総合研究センターを中心に、関係県の食品開発部門の研究所などと連携いたしまして、大型クラゲを食品加工に利用する際の原料としての特性の解明とか、それからあと、化粧品、医薬品、こういった機能成分を活用する技術の開発、こういったものが一つの課題であります。
 これまでの成果としまして、中華料理用に塩クラゲという形で加工するわけですが、そういうものの製造技術の開発を今進めておりますし、それからコラーゲン、この機能性、こういうものをどういうふうに使うかというようなことを進めております。結局、クラゲの特徴から、これから課題になっています一つの問題は、大型クラゲの九五%が水分でありますが、これをどうやってコストを安く除去していくか、こういったことが一つのネックになっておりますし、それから、いろいろな意味でコスト軽減、新製品の開発をする際の課題がありますので、それも鋭意研究を進めていきたいと思っています。
 また、このほか、鳥取県なんかで大型クラゲを農業用の肥料として使う、こういったような取り組みもございまして、さまざまな角度でいろいろなところで努力をいただいていることで、私どもも引き続き頑張っていきたいと思っているところであります。
 それから、引き続きましての燃油対策であります。
 先ほど大臣からもお答えがございましたように、また燃油の高騰状況で、私ども非常に頭を痛めておりますが、補正予算で、先ほどのクラゲ対策と燃油対策を含めて五十一億円の基金がございまして、まずこれをベースに今事業を進めているところであります。
 一つは、漁協系統が燃油供給していますので、それを効率化して、できるだけコストダウンしていきたい。それから、漁業現場で漁業者の皆さんに省エネ型漁業に転換していってもらう、そのための支援が中心になっておりますが、例えて言いますと、漁協系統のタンク、これは非常にあちらこちらに散らばっているところもありますので、それを集約化するということでのコスト削減、こういった取り組みが出てきております。
 それから、漁業者グループにおきましても、例えば共同探索船を使う、これは漁船漁業ですけれども、そういったものをこういうふうに効率化していくというふうな取り組みが出ております。
 それから、沿岸漁業におきましても、ガソリンエンジンの場合には、資源エネルギー庁の方の新エネルギー・産業技術総合開発機構がございますが、そちらの補助がありまして、そこでツーサイクルエンジンをフォーサイクルに変えるとか、これは最近八十二件の応募があったりしまして、こういう形でこういった対策を着実に進めていきたいと思っているところであります。

○大畠委員 クラゲを食べろという話も今出ましたけれども、あの大量のクラゲはもうとてもじゃないけれども食べ切れないわけでありまして、私は、一つのアイデアですよ、これはやはりお金を投入して研究者を募って集中的にやらなきゃいけない。私もこの質問をするに当たっていろいろ聞いたら、五十一億円をそういうものに使っているんだというけれども、本当にクラゲ対策で五十一億円かと言ったら、そうじゃなくて、十五億円で再利用、本当に十五億円で再利用をやっているのと言ったら、だんだんだんだん細っていくわけですね。
 だから、こういうところは、大臣、集中的に、あれだけ報道もされているぐらい、直径一メーターぐらいのクラゲがふわふわふわふわして、魚をとったって、クラゲをとっているのか魚をとっているのかわからないぐらいになっていますから、こういうときは、大臣の懐の財布で五十億円ぐらい投入するから、集中的に、東京大学だろうが水産庁だろうが、全部クラゲに関する専門家は集まれ、そういうことで、半年でもいいですよ、十人とか二十人、半年、クラゲだけ考えろ、クラゲの再利用を考えろと。例えばダイエット食品なんというのは私は何かいいんじゃないかという感じもするんですよ、これは当てずっぽうでありますが。
 例えばそういうふうに、国民が求めているものでクラゲの再利用ができるもの、そういうものを、とにかく見つかるまではおまえたちはこの部屋から出るなというぐらい言って、二十人ぐらい博士クラスを投入して集中的にやれば、このクラゲの再利用なんか私は見つかるんじゃないかと。ただ、やる気がないから、とにかく全体的に何となくやってこいというから、ではクラゲを食べようとか、そんなの私だって考えつきますよね。しかし、そんなものじゃだめなんです、あれだけの大量。それで、とっても、捨てるものだから、また海がごちゃごちゃになっちゃうので、もうみんなが競ってクラゲをとろうぐらいの話になるような有効利用方法を国が率先して、これは行政しかできないんです。
 大臣、どうですか。クラゲの再利用問題について集中して小泉政権を挙げてやる、郵政事業と同じぐらいに一生懸命やるぐらいの答弁はありませんか。

○中川国務大臣 確かに大畠委員おっしゃるように、去年のクラゲは、これはもう津軽海峡から太平洋、茨城の方まで来たかどうかわかりませんけれども……(大畠委員「来ています」と呼ぶ)来ていますか。ということで、日本じゅうの大問題であります。
 そういう意味で、集中してやっておりますけれども、そういうことで、一つポイントは、発生の原因あるいは発生地域、これは東シナ海の中国の沿岸で発生しているという説も有力でございますので、発生源対策ということで日中韓の共同研究ということも日本は提案をしているわけでございます。
 そういう原因から含めまして、おっしゃるとおりの、何十キロもあるもので、ほとんど水ですから、こういうものを、ことしまた発生するかどうか、しないようにするための今緊急対策をやっておりますけれども、抜本対策も、ある意味ではこれは日本だけではできない問題もございますので、徹底的にやっていく、あるいはまた専門家の御意見、広い御意見も聞きながらやっていくということで、できるまで閉じ込めてやれというぐらいの気持ちで取り組んでいきたい。
 これは、漁業者はもとよりでございますけれども、日本全体にとっての、ある意味では海洋国家日本にとっての大きな問題でございますので、お気持ちをしっかり受けとめて、緊急対策、抜本対策を含めてやっていきたいというふうに考えております。

○大畠委員 ぜひ、中川大臣のパワーをもってすればこれは見つかると思うんですよ。
 それで、中国は、今のところ政府間の話し合いができていないから、中国に何とかしてくれと言ってもこれは無理で、これは流れてくるところで有効利用を考える。
 私もリサイクルをやってきたんですが、紙だってそうなんですね。紙、ペットボトル、空き缶、空き瓶、それから発泡スチロールもそうなんですが、最初のころはうまく回らなかったんです。再利用の商品を考えついて、今は全国の教科書も全部リサイクルペーパーを使うようになりましたが、最初のころはPTAの人が、子供がつばをつけてこうやるから、再利用の紙じゃ不衛生だからだめだと言っていたんですよ。しかし、今ではみんな理解が広がって利用するようになって、今じゃ古紙が足らなくて新聞紙を何か失敬する人も出てきているという話ですから、再利用する道をどうやってつくるかが私はかぎだと思いますので、ぜひ力を入れてやっていただきたいということを要請しておきます。
 それから次に、政府の方と民主党の提出者にお伺いしますが、先ほどお話しした、とって売り渡した魚が店先で三倍、五倍で売られているのを見るとがっかりしちゃう、この問題についてお伺いしたいと思うんです。
 漁連と仲買組合と加工組合という関係があるんですね。なかなかここのところが、昔からあるものですから、その仕組みを変えることが難しいんですが、実際に魚をとっている漁業者の収入を確保して、消費者も新鮮な魚をより安く購入できるような流通の仕組みそのものを再検討してくれませんかという意見がありますが、これについて、政府側と民主党の提出者にお伺いしたいと思います。

○小林政府参考人 先般の委員会でも先生から御指摘いただきました流通の問題であります。
 確かに、水産の流通は非常に多段階である、それから、非常に多種類で多様な魚を多様な流通でやっているものですから、どうしてもコストがかかる、そういう仕組みがあるんですけれども、その中で、いろいろな側面で、コスト縮減それから消費者との関係、もっと顔の見える関係、それがひいては漁業者の所得向上につながる、そういう問題意識で考えていかなくちゃいけないと思っております。
 今、水産基本法の見直しに入っていまして、そういったことを、今の施策あるいは現状の検証というようなことから議論しておりますが、例えて言いますれば、産地市場、この問題が一つございます。産地市場は、今、漁協合併もこれから進めなくてはいけないので、それと裏腹の関係で小さいのがあちらこちらにあるわけですけれども、そういうものを統合していく、これが一つの産地から出すときの効率化のポイントであります。
 そのときには、物理的にこういうふうに集めて効率化する、そういった取り組みもありますし、それから、最近はIT化でありますので、物理的な話だけじゃなくてITという形ですね。それは、要するに、市場が統合されてそこで競争原理が働く、そういった手法もありますので、今お話ありました、市場というような形の物理的な側面、それからITとかそういった情報化、それからさらには流通の仕組み、システム、こういったものをやはり総合的に見直していかなくちゃいけないと思っております。
 それから、一方では、そういった市場流通のほか、例えば最近は産直がありますし、それから現地で例えば漁協の女性部の皆さんがみずから売るとか、それから大手スーパーとかとの直接取引とか、さまざまな形態が出ていますので、これは先般御説明を申し上げましたけれども、そういったところに対するいろいろな支援ということも含めてやっていきたいと思っているところでございます。

○山田議員 大変難しい質問でございまして、生産者が自分でなぜ値段を決め切れないかと。
 私もかつて、牛、豚を飼っておりまして、何で小売で高いのに我々が売る豚とか牛は安いのかと大変頭にきまして、自分で肉屋をやってみまして、最後、牛丼屋までやったんです。ところが、肉屋をやっても大変なんですね。結局、自分のところでつくった牛は、もうどこでもいいから、熊本の川尻の家畜市場でもいいから売ってくれ、それぞれの肉屋は、どこでもいいから仕入れして売ってくれと。そうやったら、やっととんとんになったというみずからの体験もありまして、いかに第一次産業の流通が難しいかと。そういう意味では、大変本当に古くて新しく、難しいものだと思っております。
 ただ、最近、小さなことでありますが言えることは、農協あたりが、消費地でかなり農協直販の、例えば生産地の消費でもいいですが、私の田舎、大村あたりでも、どんどん農協がお店を出して、そこに自分でつくった、農家がつくった野菜を出してきている。そういうところが随分ふえて、はやっております。それと同じように、あるいは漁協青年部あたりで、とれてきたものを直販するという形がもっともっと出てきていいんじゃないかと思っております。
 できるだけ自分でつくったものを自分で値段を決めて売るようなシステムが、少しずつですが農業ではかなり浸透してきましたので、漁業でもぜひそういった方向を行政として指導していければいいんじゃないか、そう考えております。

○大畠委員 一つ、確かに今は何か買い手市場になっちゃっているんですね、言われるままに売るしかないということで。オイルの値段は上がるし、とった魚は安く買いたたかれるし、では、みんなで、おれたち、やめた、みんな買う人が海に出てとったらいいんじゃないかというような感情すら出てくるんですね。要するに、リスクを負いながら、しけのときはまさに船底一枚下はもう地獄なわけですよ、そういうリスクを背負いながら魚をとっているにもかかわらず、そういう状況から脱せられないということで、非常に悩みながらやっているんですね。だから、後継者さえもうなかなか出てこなくなってきている。
 ですから、ここのところの仕組みを、まあ難しいんだと思うんです。漁連の人に聞いても、そういうところまで手を入れたら大変ですと。だけれども、流通業者のために魚をとっているわけじゃないんですね。安くて新鮮でおいしいものを消費者に食べてもらいたいと思ってとっているんだけれども、どうもそこのところが、現在の既存の仕組みの中ではその思いが遂げられない、そして後継者難にさいなまれているというのが現状ですから、難しいことは承知しながらも、農業の改革と同様に漁業面での流通の改革にもぜひ取り組んでいただきたいということを要請しておきます。
 次に、現在の漁業対策予算は二千六百三十五億円ということでありますが、港や護岸対策としての予算が千五百九十九億円、漁業対策としては千三十六億円が使用されているんですが、これは昔からずっと大体変わらないんですね。二千億円は大体港とか護岸工事、それから漁業対策が一千億円。二千億対一千億という割合がほとんど変わらない。ただし、今回、四百億ぐらい下げたという話なんですが、もうそろそろ、戦後六十年たって、この二対一という割合は切りかえて、一対二、いわゆる港整備とか護岸工事対策は一千億程度にして、実際に魚をとっている漁業者対策に二千億ぐらいを投入してもらいたい、そこら辺が本末転倒じゃないかという意見があるわけであります。
 もちろん、海底の清掃とか海の森の生成や、この千五百九十九億円のお金でもそれができるというんだけれども、実際、漁業をやっている人の話を聞くと、そこまで予算がおりてきていないと言うんですね。県が悪いのか、国はそれに使えるお金としてやっているんだと言うんだけれども、県が上げてこないからというような話も聞くんですが、実際にやりたいと思っても、そういう予算が現場ではついていないということですから、これは国が県を指導するのか、あるいは関係団体の方から意見が上がってきていないと言うんだけれども、どうも私は、旅順と同じように、司令部の方針と現場の戦闘地での状況が異なっているんじゃないかと。ここのところは、上の方は下が悪いんだと言っているし、下の方は上が悪いと言っているんだけれども、どうもそこら辺が、私は何かよくわからないんですね。
 これは現場の漁業者の人の意見なんですが、ここら辺、中川大臣、そろそろ切りかえようと。要するに、実際に魚をとっている人に対する直接所得補償なんかも含めて、農業と同じようにそこに少しお金を入れるべきじゃないかという要求も出ているんですが、この問題について、政府とそれから民主党の法案提出者にお伺いしたいと思います。

○中川国務大臣 日本は、かつては世界一の漁獲量を誇っていた、また魚が主要なたんぱく源の地域が多かったわけでありまして、そういう意味では魚文化の国でもあると思いますけれども、先ほど大畠委員御指摘になったように、日本の漁業関係、非常に厳しい部分も多いわけでございます。そういう中で、やはり日本は、一方では排他的経済水域の面積は世界で六番目という、ある意味では今でも海洋国家、水産国家であるし、あるべきだと私は思っております。
 そういう中で、いわゆるハードとソフト、時代の要請にこたえられるようなハードとソフト、両面必要なわけであります。もちろん、漁港を整備する、あるいは漁港関連施設を整備するということは、これは非常に大事なことだと思いますし、また、流通等も含めたソフトも大事だと思いますが、限られた予算の中でございますので、地元の御要望も多々あると思いますし、また、国の漁業政策、今、基本計画の見直しをやっておりますが、いずれにいたしましても、硬直的な予算、最初から一対二とか何対何というふうに、まず大枠の配分ありきという時代ではないと思いますので、緊急あるいは優先順位をつけて柔軟にやっていくことが必要だろうというふうに理解しております。

○山田議員 私も、大畠議員の申すとおり、全く同感でありますが、漁港予算は予算として、必要な漁港とか港湾もあることはあるんですけれども、それはそれで、本当に無駄なものがないかどうか精査して、むしろ水産予算の重点を漁業者の所得安定対策に今や思い切って投ずるべきだと考えております。
 そういう意味で、私どもは、漁業者が一番困っているのは、魚価が輸入魚によってどんどん下がってきているということですから、油代は高い、いわゆる不安定な経営にあるわけですから、それに対して、今初めて農業で取り入れております品目横断的な直接支払い、それと同じような考え方で、いわゆるナラシの部分と言われている価格安定的な部分、そういった経営安定的な部分、それに対して私どもは直接支払いをやろうじゃないか、そういうことで基本法案を一つまとめました。
 それからもう一つは資源回復なんですが、今どんどん漁業資源が乏しくなってまいりました。乱獲して、そしていろいろな形で、海の森とか藻場造成とか種苗の放流とか、大事なときですが、そういったものに対する直接支払い、あるいは、漁村集落は、自主的にそういう海の掃除、いわゆるいそ洗いとか、あるいは藻場造成、あるいは種苗の放流、そういったものに対して、漁村集落に対する直接支払い、そういったものに、限られた水産予算を思い切ってシフトを変える、そういう形での漁業水産政策を今回の基本法に盛り込みました。

○大畠委員 時間が来ましたので、これで質問を終わりますが、ぜひ中川大臣にも、また民主党の提出者にも共通して、現場で一生懸命黙々と頑張っているそういう人の声を聞きながら、国の施策をやっていただきたいということを要請しまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

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