議事録

   

第166回国会 経済産業委員会 - 16号
平成19年6月8日

 

 

○大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。
 弁理士法の一部を改正する法律案でありますが、今回の法改正に当たりまして質問をさせていただきます。
 まず最初に、私たち民主党として、二〇〇〇年九月にこのような「はばたけ 知的冒険者たち 知的財産権についての二十一世紀戦略」というものを発表させていただきました。
 ちょうど、二〇〇〇年九月というのは、甘利大臣から今お話がありましたように、これからの知的財産権の戦略をどうするかという、政府の方も検討されている当時でありまして、甘利大臣が以前、自民党の知財の中心人物として、官邸に乗り込んで、日本としての国家戦略をつくるべきだということで、たしか知財の戦略本部というものを立ち上げて活動されたということを私たちも承知しております。
 当時、私どもも、この知財というのはこれからの日本が生きていく上での大変大事な基盤であるという認識で、特に、アメリカが非常に知財戦略をもって日本に反撃をし始めたのが一九八〇年代でありまして、その当時、五月雨的に安い製品をアメリカに輸出して日米の通商問題にもなったところでありますけれども、そこで、甘利大臣御存じのとおり、一九八〇年にはバイ・ドール法というので、大学の研究を知財にしようという法律ですとか、一九八五年には有名なヤング・リポートというものが発表されまして、国家戦略を定めていったわけであります。
 そういうものを受けて、私たち民主党も、「知的財産権を制する者は世界を制す」という基本に立って、幾つかの提言をさせていただきました。
 まず一つは、「知的財産権を憲法に規定せよ。」こういうふうな提案が一番最初でありまして、アメリカの憲法一条八項八号において、「議会は、著作者および発明者に対して、一定期間それぞれの著述及び発明について排他的権利を保障することにより、科学及び有用な技術の進歩の促進を図る権限を有する。」ということを米国憲法の第一条八項八号に定めるほど、アメリカとしてはこの知的財産権というものを認識してきたわけであります。
 私たちも、そういう意味で、今憲法改正の論議もされているところでありますが、こういう問題も大事でありますから、ぜひ日本としてもそのようなことを認識すべきだということを第一番目に指摘し、それから、知財の基本法というものを制定すべきだということもこの当時提言をさせていただきました。これも甘利先生を中心として具体的に行動をし始めたところでありますし、知財の専門裁判所を設置すべきだ、こういうことも提言しましたが、これも今政府の方で行ったところであります。
 日本としてはこういう基盤のもとに行動し始めていますが、まだ十分な体制には至っていないという状況でございますが、今回の法律改正については弁理士の資質向上、責任の明確化を行うという目的でやるわけでありますから、私自身も、基本的にこの改正は適正であるという認識のもとに、何点か質問をさせていただきます。
 一つは、先ほど佐藤委員からも御指摘がございましたけれども、資質向上を目指すとハードルが高くなって参入障壁になってしまうんじゃないかという大臣からの御答弁もございましたが、基本的に、ふえればいいということではなく、かといって参入障壁になっても困るんですが、基本的な条件だけは備えた弁理士の誕生というのが重要なんです。かつて文部省の方も円周率を三にしちゃったことがありますが、こんな形で弁理士をつくったら、これは大変なんです。
 したがって、諸外国はどういう形でやっているかというんですが、お手元に一枚の紙を配付させていただきました。ございますでしょうか。
 これは、イギリスとドイツの弁理士の試験制度の内容でございます。特にドイツは受験資格というものを非常に厳しくしておりまして、そういう意味では、甘利大臣の御認識からすると、これはちょっとハードルが高過ぎるんじゃないかと思われるかもしれませんが、理系大学卒業の学生には、弁理士のもとでオン・ザ・ジョブ・トレーニングの実習、裁判所での実習、地裁が二カ月、特許裁判所で六カ月、特許庁で二カ月という実習がノルマとしてかけられています。二十六カ月の実習等々を経て初めて受験資格を得る、こういうことになっています。
 日本の場合はどうかというと、こういうふうなことはないんですが、今、大体三回ぐらい試験を受けないと通らないということで、受験生の方も何人か、私、知人の息子さんで一生懸命頑張っている人がいるんですが、大変なんですね。弁理士の試験に合格するために予備校みたいなところに通って一生懸命頑張っていますが、例えばこういう制度を導入すれば、明るくとは言わないけれども、実務を経験しながら弁理士を目指すことができるということで、これも一つの、どっちみち三年ぐらいかかるんだったら、オン・ザ・ジョブ・トレーニングで弁理士の事務所で働いたり、裁判所でこういうことをやらせるのも私は一考に値するんじゃないかと考えております。
 ドイツの例でございますけれども、このような実例について現在どのようにお考えか、お伺いをしたいと思います。

○渡辺(博)副大臣 お答えいたします。
 大畠委員、知財に大変御熱心に、そして深く造詣があるということを認識しております。
 このドイツやイギリスの例、今手元で見させていただきましたけれども、ドイツにおいては、これは受験資格でございますね。そしてまた、イギリスの場合は登録資格ということで、国によってそれぞれの要件にさまざまな差があるということはまず前提にあるわけでありますけれども、いずれにしましても、実務能力、そしてまた資質向上というものを考えていきますと、大変重要な御指摘だというふうに思っております。
 現在、我が国の改正法案は、まさに弁理士登録前の実務修習制度というものを新たに導入したわけであります。かつてはこういった制度がありませんでした。したがって、登録時における実務能力を担保するということが大前提であります。また、既に弁理士になった方に対しても、その資質向上を図るために定期的に研修を受講することとなっております。こういう実務修習、そしてまた定期研修、こういったものを通じて、しっかりと能力をアップしていただきたいというふうに思っております。
 実際の制度設計につきましては、これから、例えば、実際の実務としては明細書の作成といった実務、それから弁理士倫理等について、先ほども大臣から答弁ありましたけれども、三カ月程度、時間として六十時間から七十時間の研修をスクーリングまたEラーニングによって、こういったものを実施していきたいというふうに考えておるわけであります。
 したがいまして、この問題につきましては、今後さらに内容を検討してまいりたいというふうに思っております。

○大畠委員 三カ月程度、登録前にこのような研修といいますか、実務の研修制度を設けるということで、これは一歩前進なんですが、三カ月というとすぐですからね。ことしになってからもう六月ですから、あっという間に半年たってしまうので、三カ月というのは、私は、まあ、やらないよりはましなんですが、蚊がちょんちょんちょんと皮膚を突っついたような感じで終わっちゃうんじゃないか。
 だから、もしも本当に、資質の向上という意味では、今弁理士も、平成八年三千九百十六人から平成十八年七千人と倍ぐらいになったんですが、非常にこれはいいことなんですが、やはりきちっとしたことにしないと、一万人になったときに、人数が多くなれば質のいろいろな方が出るのは仕方ないかもしれませんが、やはりこれから知財立国を目指そうということであれば、弁理士という資格を持つ方はこういう方であるという、非常に社会的にも認識を新たにするような形の地位の中身を充実させていかなきゃなりませんので、私はドイツまでとは言いません、ドイツは非常に、実習二十六カ月、約二年ぐらいは実習しなさいということを試験を受ける前に規定しているわけです。どうせならば、私は、こういうことも必要なんじゃないかという感じがするんです。
 特に、最近の学生さんは実務が、実社会の経験というのが非常に少ないんですね。自分のうちでも、ふろをたいたり水くみしたりとか、昔の体験はほとんどなくて、社会体験も少ないわけですから、ぜひここら辺については、さらに今回のものをベースにより充実した内容になるように御検討をお願いしたいと考えます。
 それから、登録後の研修でございますけれども、今伺いますと、五年に一回ぐらい定期的研修受講の義務化というお話を聞いているわけでありますが、ここのところも、法律改正とかなんかが非常に頻繁に行われ始めていますし、世界の特許情勢も変わっていますから、大切なことだと思っております。
 この定期的研修受講の義務化ということでありますが、これは、どういう背景でどういう内容でやろうとしているのか、基本的な御認識をお伺いしたいと思います。

○渡辺(博)副大臣 この背景は、先生御指摘のとおり、弁理士の資質の向上を常に図っていかなければならないし、時代とともに内容がかなり変化することもあります。
 したがいまして、弁理士の定期的研修というものは、日本弁理士会が実施主体となりまして、最新の知的財産制度の改正状況や技術動向等について、例えば五年間で七十時間程度の研修をスクーリングやEラーニングで実施することを想定しております。

○大畠委員 そうなりますと、実務研修制度で登録前のものですとか、あるいは登録後の定期的研修というのは非常に大事な位置づけになりますね。
 そこで、今御答弁の中にもありましたように、弁理士会という話が出てまいりました。この実施主体というのは弁理士会ということになるんでしょうか。

○渡辺(博)副大臣 今答弁したとおり、実施主体は弁理士会ということを想定しております。

○大畠委員 そうなりますと、法律で義務づけするわけですから、いろいろお伺いしますと、この研修の導入時、準備にいろいろなものがかかると思うんです。公的な支援というのはなんでありますけれども、何らかの形で、初動のところはやはり法律で義務づけするわけですから、さあやれよというだけではなく、国が枠組みする。ですから、それなりの支援体制も必要だと思うんですが、この件についてはいかがでしょうか。

○渡辺(博)副大臣 委員御指摘のとおり、枠組みは国でつくっていくわけでありまして、後やってくれというわけにはいきません。
 したがいまして、弁理士会が行う定期的研修につきましては、例えば、講師の派遣、それから教材の提供など、こういったものについて支援を検討してまいりたいというふうに思っております。

○大畠委員 さらに、今お話をいただきましたが、やはり主体的に実施する母体のところと国の方でよく連携をとって、本当はこれはあんたの守備範囲じゃないか、いや、これは違いますよというので、ぽてんヒットになっても困りますから、よく守備範囲についても役割分担についても連携が必要だと思いますが、この実施に当たって、弁理士会とはどのような形で内容を詰めていくのか、そこは十分連携をとりながらやるということで理解してよろしいでしょうか。

○渡辺(博)副大臣 まさに御指摘のとおり、国は国、弁理士会は弁理士会という形で別々でやっていっては、本来のこの知財の戦略的な動きができませんし、資質の向上も図れないわけでありますから、当然のことながら、弁理士会との連携を図っていくことが大変重要だというふうに思っています。

○大畠委員 野球に例えるわけじゃありませんが、やはりセンターとかレフトとかライトとか、お互いに声をかけ合いながら、空間ができないように緊密な連携をとりながら有効な研修制度になるように、要望だけをさせていただきます。
 次に、ここのところに弁理士試験の免除拡大という項目がございます。短答式と論文式という二つの試験があるんですが、一部免除というところがございまして、知財に関する大学院の修了者あるいは短答式試験の既合格者、こういうところは代表的によく理解できるところであります。それから、論文式試験の一部免除についても、選択科目の既合格者、必須科目の既合格者、これも理解できるところであります。
 実は、参議院の方で既にこの法律案は審議されて通過しているところでありますが、渡辺副大臣の御答弁の中で、現在、実務面のところで免除制度というものがありますけれども、現在、弁理士の採用については、即戦力ということで択一試験を免除しておりますという話と、それから、実務修習につきましては、審査官経験者は、日常の審査、審判事務を通じた明細書の記載の仕方などの実務能力をある程度修得をしていることから、実務修習において一部の科目を免除することもあり得ます、こういうふうな御答弁をされています。
 いろいろお伺いしますと、弁理士を審査官に任用する場合と審査官が弁理士になる場合、この二つについて御答弁になったという話でありますが、もう一度その点を御確認したいと思います。

○渡辺(博)副大臣 参議院の法案審議におきまして、今委員御指摘のとおりの答弁をしたわけでありますが、まず、任期つき審査官の採用について申し上げますと、この場合の試験科目の一部免除というものは、いわゆる択一式の試験を免除しているということでありまして、これは、既に弁理士の資格を持っている方に適用するものでありまして、任期つき審査官の場合は即戦力ということでこういうことを制度化しているわけであります。
 片や、これから弁理士になる方については、弁理士登録するための実務修習につきましては、原則、すべての方に実務修習を行っていただきます。ただ、審査官を経験している者は、日常の審査、審判実務を通じて明細書の記載の仕方などの実務能力をある程度修得しているということで、当該実務修習については一部の科目を免除することがあります。ただ、これは今の段階では、詳細については省令で記載をしていきたいというふうに思っているわけであります。

○大畠委員 広野委員の質問は、たしか、審査官のOBの皆さんも六百七十名ほど弁理士になっている、こういうことで、審査官の云々ということではないんですが、免除することが、資質の向上ではなく、逆に不均一になってしまうのではないかという趣旨で質問しているときに渡辺副大臣から御答弁があったので、ちょっと混同していたんですが、今の御答弁でよくわかりました。
 ただし、私は、審査官だからといって弁理士の資格を有しているということではないんじゃないかと思うんですね。実は私、きのう、質問取りのときに、特許庁の皆さんがおいでになったときに、甘利大臣も民間企業におられましたけれども、皆さんは特許を持っていますか、あるいは特許申請したことがありますかと言ったら、ないと言うんです、だれも。要するに、特許明細書を書いたことがないんです。
 特許庁長官は書いたことがございますか。ちょっとお伺いします。

○中嶋政府参考人 私自身は書いたことはございません。特許法とかいろいろな基準とか、勉強はしておりますけれども、本人、出願に値する発明を思いついたことがまだございませんので。将来そういうことがあれば、ぜひチャレンジしたいと思っております。
 ただ、当然ながら、特許庁の具体的な個々の審査官は、実務については非常に精通しているということでございます。

○大畠委員 私は、多分甘利大臣もお持ちだと思うんですが、私も企業におるとき、半年に一件ずつ出さないと昇格しないんです、これはノルマというのはおかしいんですが。これがまた、特許庁からは、余りたくさん特許を出してくれるな、優秀な特許だけ出してくれ、こういうふうな批判にも通じているところであります。私は、この審査官の方が、多分、実務能力は十分あるから、弁理士の試験の一部免除もいいのではないかということだと思うんですが、ここのところをもう一度検討してみることが必要なんだと私は思うんです。せっかくこうやって資質の向上ということをうたっておりますし、現在、弁理士七千名のうち特許庁の審査官OBが六百七十人ということなんですね。
 ですから、その方々に不信を抱いているわけじゃないんですが、せっかく資質の向上ということをこの法律案の中でも、今回改正しようとしているんですから、ここについても、再度、本当に審査官イコール試験を免除するに値するかどうかということを、私は再検討をちょっとしておくことが必要だと思うんですが、副大臣のお考えをお伺いします。

○渡辺(博)副大臣 今、特許庁長官のお話があったとおり、特許を申請したこともないという、現実はそうでありますけれども、実際の審査官は、やはり実務上、当然のことでありますけれども、極めて業務に精通しているわけでありますので、これは能力が十分あるというふうに私は理解しております。そうでないと、日本の特許制度、不信感が出てしまいますので、逆に私はそういった能力を買っているわけでありまして、御指摘でございますけれども、現行の制度でやらせていただきたいというふうに思っております。

○大畠委員 ある程度理解しますが、審査するのと実際に書類を書いて申請するのではやはり違うんですね。アンパイアの方が名プレーヤーかというと、そうでもないんだよね。だから、それと同じように、審査官イコール、私も特許明細書を大分審査してもらいましたけれども、かなり詳細に指導していただきましたけれども、では、弁理士としてできるのかというと、イコールではないような感じがするんです。そこら辺はぜひ内部でさらに御検討いただきたいということを指摘させていただきます。
 そこで、佐藤委員や赤羽委員からも御指摘がされておりますが、国際競争時代における条約が論文試験から除外されていることについて、このことについては北神委員から詳細にまた質問をさせていただきますし、中小企業と知財という問題については三谷委員から質問させていただくことになっておりますので、割愛をさせていただきます。
 甘利大臣にお伺いをさせていただきますが、実はここに一枚の新聞の報道がございます。米中間の知財攻防という新聞でありますが、これはお手元に配っておりませんけれども、中国に対するアメリカのWTO提訴には日本も第三国の立場で参加すると。ただ、「中国も努力していないわけではない。北風と太陽をうまく組み合わせ、結果として一番速い方法で知財が守られるのがいい」というコメントを甘利大臣が出しておられます。
 実は、今、知財の方で問題になっておりますのは、日本国内で特許を公開すると、インターネットで見られるものですから、日本国内の特許を取っているものは、すぐ向こうで検索をして、中国国内でつくられることがあるんですね。これはもう特許侵犯でもないから堂々とつくってもいいということになっているんですが、しかし、堂々とじゃなくて、慣例とか礼儀的にはやめようというのが世界の通例なんですが、中国にはそれが通じておりません。したがって、日本で特許を取ると中国でまねされてしまうから、国内特許を出さないんだというような、出した方がいいのか出さない方がいいのか、迷っている方もいるんですね。
 ですから、この中国の模倣特許、要するに、中国でそれを模倣して中国国内で特許を取ってしまえば中国国内は特許になってしまうんですね。こんなおかしなことはないんですが、それが現実の姿なんですね。この問題に日本としてはどう対処していくのかというのが一つ。
 二つ目には、同じように、海賊版の商品なんかがかなり出回っていて、アメリカが、海賊版関係で米国の知的資産は五兆ドル、約六百兆円以上の価値が失われてしまっている、模倣品のために。こういうことで、模倣品を容認すれば米国人の職を盗んでいると批判されるという指摘がアメリカから出ていますが、日本としては、この二つの件に対してどのような形で進もうとしているのか、お伺いしたいと思います。

○中嶋政府参考人 第一点目の、少し技術的な点もございますので、御説明をさせていただきます。
 今御指摘のあったように、まず日本の企業が日本で特許を取る、それが十八カ月たつと出願公開されます。これは、世界じゅうでもともと特許制度というものはそういうものでありますから、それ自体は当然のことではあるんですけれども、問題は、今御指摘のありましたように、中国の中で別の人がそれをすぐまねたような形で出願をするといったようなことが起きるのではないかという点でございます。
 もちろん、日本の企業にとって一番いいのは、日本に出願すると同時に中国にも出願する。ただ、そのときに、中国の当局が、日本を含めて海外で既に知られた公知の技術については中国として特許としては認めないという、いわゆる世界公知基準の原則というのがあるんですが、それを確立する必要がございます。今、その扱いが中国の実務の扱いではあいまいな点がございます。
 そこで、今現在、中国で、中国の特許法に当たります専利法の改正を検討しておりますので、その改正草案の検討に当たって、日本の方から積極的にいわゆる世界公知基準を明確に明文化するようにということを強く働きかけております。実際、昨年九月に、向こうから法律の担当者の専門家のミッションが来まして、特許庁あるいは日本の産業界と十分議論をいたしまして、彼らもその点については認識を深めております。そこは、引き続き強く申し入れていきたい。
 それから同時に、中国の特許庁で実際に審査に当たる人、それを日本に呼んで研修生の形で、もう十一年間で四百七十二名呼んでおりますけれども、そういう形で人材育成という面でも協力をしていきたいと思っております。
 なお、二点目で御指摘がございました、そもそも模倣品対策というか全般のことでございますけれども、これは、かねて大臣が御提唱されておる世界的な模倣品の防止の条約づくりということでございますけれども、同時に、中国に対しましては、官民合同のミッションを毎年派遣して、具体的な例を挙げながら現実的な解決策を強く要請すると同時に、いろいろな形での協力も提供するということでございます。そういった形で、マルチあるいはバイ、両方の形で模倣品対策をしっかりやっていきたいと思っております。

○大畠委員 この問題はかなり深刻な課題でもありますし、ぜひ特許庁を挙げてといいますか、政府の方でも十分御認識をいただいて、対策を強化していただきたいということを要望しておきます。
 次の質問ですが、今度は、前後いたしますけれども、さきにもう既に法改正がされておりますが、侵害訴訟で弁理士が裁判所に制限つきの代理人として立てることになりましたけれども、それは訴訟補佐人と実質的にどう違うのか。
 もう一つ、弁理士には、いろいろ歴史をたずねますと、百年近く前から法廷で補佐人業務をやってきたという歴史があるそうです。したがって、弁理士試験に民事訴訟法を必須科目として追加して、全弁理士が弁護士と共同の訴訟代理ができるように、現在の付記訴訟代理権を有する弁理士には単独の訴訟代理権を付与する改革を行うべきだという御指摘もいただいているところでありますが、この二つについてお伺いをいたします。

○中嶋政府参考人 若干専門的なお尋ねでございますので、お答えをさせていただきます。
 まず訴訟代理人でございますけれども、これは、依頼者から委任を受けた事件について、原則としてその訴訟事件の解決のために必要な一切の訴訟行為を行うことができるわけでございまして、依頼者から特別の委任を受ければ、反訴を提起するとか、あるいは訴えの取り下げといったようなことについても行うことができるわけでございます。
 訴訟代理人は、特段の事情のない限り、訴訟行為だけでなくて、受任した訴訟事件の処理に通常付随する事務の処理も行うことができるというふうに解されておりますので、いろいろ依頼人の相談を受けて、訴訟外の交渉とかあるいは和解などの代理ということも、それが受任した事件に通常付随する事務と認められる限りにおいては、それを行うことができるということでございます。
 他方で、補佐人でございますけれども、これは、専門技術的な知識が必要な訴訟において当事者や訴訟代理人の陳述を補足するものでございますので、補佐人の陳述というのは、当事者または訴訟代理人によって後で取り消されたりあるいは更正され得るものであるというような点が違ってまいります。
 こういう点を考えますと、弁理士が訴訟代理人として弁護士と共同で特定侵害訴訟に関与することは、その知見をより有効に活用することで利用者の利便の向上に資するものであるというふうに考えております。
 他方で、委員の第二の御質問でございますけれども、特定侵害訴訟における訴訟代理人制度につきまして、例えば弁理士試験の中で民事訴訟法などを加えていく手もあるのではないかというような御質問があったと思うのでございますけれども、弁理士資格を有することによる独占的な業務というものの本来業務は、特許などの出願についての特許庁での代理手続でございます。そういう意味からすると、民事訴訟法を弁理士試験の必須科目に加えていくということは、弁理士の本来業務に必要となる知識を考査するものではないという点からすると、適当ではないのではないかということでございます。
 ただ、いずれにしても、この特定侵害訴訟についての訴訟代理人制度につきましても、まだ制度ができてから三年でございますし、それほど代理の実績も多いわけではございません。そういうような実際の訴訟代理の状況とかあるいは利用者のニーズといったようなものを十分踏まえて、将来的に、特定侵害訴訟における弁理士の単独代理を含めた訴訟代理のあり方についての議論も、引き続き行っていくということが適当ではないかというふうに考えております。

○大畠委員 基本的な現在の御認識はお伺いいたしました。
 実は、私の友人で弁護士の方が何人かいるんですが、今、弁護士さんは大忙しです。どこの弁護士事務所へ行っても、いろいろな方が来まして、何でそんなに忙しいんだといったら、隣のうちのカキの木の枝が伸びてきて邪魔だ、これを切りたい、これについて相談したいとか、隣のうちの庭木の葉が落ちてうちの庭にいつも来る、これを何とかしたいとか、普通だったら隣と話をすれば済むような話まで弁護士のところに持ち込む時代になっちゃったんですね。要するに、地域での対話というか交流がなくなって、どうしたらいいかという、御当人にすれば非常に悩ましい話かもしれませんが、第三者が聞けば、二人で話し合えばいいじゃないかという、そんなたぐいのものまで弁護士事務所に持ち込まれるという時代です。
 そういう意味では、特許問題についてはできるだけ弁理士に、弁護士さんの手を煩わせることなく、弁理士が単独でも裁判所でこういう工業関係の仕事はできるような環境を整えるように、事実関係をよく踏まえてという話なんですが、私はそろそろそういう時代に入ってきたと思うんです。
 副大臣もお戻りになりましたので、この件について、副大臣、どういうふうにお考えか、突然ですが、御所見をお伺いしたいと思います、個人的な見解でも結構ですから。

○渡辺(博)副大臣 弁護士の業務というのは多岐多様でありまして、今お話がありましたとおりですが、専門的な分野というのは、例えば弁理士の仕事の内容というのは極めて専門性を有するところでありまして、将来的にはそういった考え方も必要ではないかな、私はそのように思っております。

○大畠委員 率直な御答弁、ありがとうございました。やはりここで、委員会で議員同士が話をするというのはそういうことなんだと思うんですね。よく理解いたしました。
 最後の質問になりますけれども、途中幾つか割愛させていただきます。
 先ほど特許庁中嶋長官は一度も特許を出したことがないと言うんですが、それはよく理解できるんです。というのは、特許を出そうとしなければ、特許は出ませんから。
 というのは、私の知り合いの方が車に乗っていて、後部座席で足を伸ばしたいなと思ったんですよ。ところが、助手席の背が邪魔なんですね。そこで、そこに穴をあけて足を伸ばせるような仕組みの特許を取っちゃったんです。そうしたら、年間数百万円の特許料が入ってきまして、今そのお金をベースに教育財団というものを立ち上げて、プラネタリウムをつくって、小中学生を無料で、見学したい人は来てくださいというのでやっているところもあるのです。
 だから、これは周りにたくさん特許のネタがありますから、ぜひ特許庁長官時代に一個ぐらいは取っていただきますように要望しておきます。これは、その気にならないと見えないんですよね。私も会社員時代、無理やり、半年に一件出せというから特許を書いていましたけれども、そういうものがなければなかなか特許というのは書く気になりませんので、先ほどの、中嶋長官がまだ取っていないというのはよく理解しますので、今後の課題としてお願いしたいと思います。
 それから、大臣に最後にお伺いしますが、ヤング・リポート、一九八五年に特許戦略として出されましたが、日本においての特許の第一人者としての甘利大臣として、今後どういう形でこの問題に取り組むか。特に、対米、対中に対する思いを、簡単でも結構ですからお述べいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

○甘利国務大臣 アメリカはレーガン時代、ヤング・レポートを機に、アンチパテントからプロパテント政策、パテント重視に変わって、それが競争力になっていったわけであります。日本も遅まきながら、与野党、志を同じゅうする議員の思いで知的財産戦略がここまで進んできたわけであります。
 これは、世界共通ルールに当然していかなければなりません。アメリカは、きょう現在まだ先発明主義でありますから、これを国際ルールにそろえる。中国は、ついこの間までは、はっきり言えばかなりやりたい放題ということを各国、世界じゅうから指摘を受けた。それが、知財というのは基本的に、国際的な、守らなきゃならない基本ルールというところに、ようやく腰が上がってきたわけですね。
 そこで、このサミットでも初めて、国際的な海賊版の防止のための条約にみんなが取り組んでいくということが合意されて、発出をされるということになったようであります。小泉総理の時代に私も、どうしても日本発でやってくれということで、ようやく、サミット三回目を迎えて、それが合意文書の中に書かれるということになったようであります。
 アメリカあるいはEUとも協調しながら、この知財途上国で大消費地国をしっかり巻き込んで、しっかりとした国際ルールにしていきたいというふうに思っております。

○大畠委員 ありがとうございました。

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