《市民政策情報Q&A》 (No.8)

(2001年6月21日更新)

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 「民主党のエネルギー政策は?」  

     日立市の大越さんから、「民主党のエネルギー政策はどのようなものですか」との
ご質問を頂きました。
  現在、民主党内のエネルギー政策小委員会で大よそのとりまとめを致しましたの
で、その概要をご報告いたします。」
                           
概要版はこちらをご覧下さい

平成12年2月日

民主党エネルギー基本政策(案)


――省エネルギー国家の構築――



1.策定にあたっての基本的な考え方 

(環境と経済のバランスの追求)
● 民主党のエネルギー政策に対する基本的な姿勢は、持続可能な循環型経済社会の構築を目指した「環境と経済のバランスの追求」です。そして、この目標の達成のためには、いかなるイデオロギーも払拭されなければなりません。なぜならば、人類が安心して生存し続け、幸福に暮らせる地球を後世代に伝えていかなければならない責務が、今を生きるわたしたちに強く求められているからです。 

● 現代の歴史を振り返った時、急速な科学技術の進歩とともに、交通の発達、生産の高度化、生活水準の向上といった恩恵は、中東の豊富な石油を前提にしてきたものでした。そして今、エネルギー大量消費の時代はまさにターニングポイントに差しかかっています。しかし、人類に突きつけられた課題はいずれも未知なるものばかりです。このまま有限な資源を使い続けることができるのか、わたしたちはこのままよりよい生活を求めていくことができるのか、将来いかなる科学技術が進歩するのか、地球が少なくとも現在の環境を保全したまま存続するにはどのような環境条件があるのか。エネルギー問題は食糧・環境・人口問題と並び、これからの人類の行く末を決定づける最重要の課題になっています。 

● 今わたしたちにわかることは、人口は必ず増え続け、50年後にはこの地球は今よりも数十億人もの人間を乗せなければならなくなること、そのほとんどは先進国以外の国での増加であり、それらの国々もいずれは経済発展を遂げ、1人当たりの所得も数倍に伸びるということです。そして、人口増加、経済発展が乗数的にエネルギー消費を拡大させることは自明の理です。 
 将来のエネルギーがどのような技術でまかなわれるのか、予測することは困難ですが、どのような資源を利用するにせよ、クリーンで安定供給が可能、かつ経済性を持ったものでなければならないことは確かでしょう。 

(持続可能な循環型経済社会の構築)
● 先進国は、化石燃料を燃やすことによって生じる酸性物質による公害を経験し、その対応策を進めてきましたが、今や発展途上国が同様の問題に直面しています。しかし今、それ以上に深刻なのは地球温暖化の問題です。 化石燃料を燃やすと、二酸化炭素(CO2 )などの温室効果ガスを発生させます。 
 その影響は、海面上昇による陸地の水没を待つことなく、人々が気づかぬうちに異常気象による災害や凶作、飢饉、伝染病の蔓延など、極めて深刻な事態を引き起こしてしまうと言われています。地球温暖化への対応は、地球に人類が将来にわたって健康に、安全に暮らしていける環境をつくるために不可欠かつ喫緊の課題であると認識しなければなりません。 
 とりわけ97年12月の気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)においてわが国が約束した温室効果ガス排出抑制は、温室効果ガスの排出量を90年比6%減のレベルに抑制するというきわめて重要な目標達成が強く求められています。 
公害を出さないエネルギー生産・消費を進めなければならないのは当然のことですが、この地球環境問題は、エネルギー政策上、優先すべき重要な要素です。 
私たちは今、持続可能な循環型経済社会を目指します。
 
(エネルギーセキュリティーの確立)
● 一方で、国民生活の安定的な維持向上を確保し、経済・社会を運営していくためには、エネルギー資源の安定的確保は必要不可欠です。 
 したがって、わが国エネルギー政策の策定、推進にあたっては、エネルギー資源をほとんど輸入しなければならないという、わが国特有の状況を踏まえたエネルギーセキュリティの確立が、環境保全と並んで最も重要な政策目標の一つとならなければなりません。 
 わが国は70年代の石油危機の際のパニック、狂乱物価、産業構造の大転換を迫られた深刻かつ長期にわたる不況を経験することによって、エネルギーセキュリティの重要性を強く認識しましたが、国民の危機感は年月を経るにつれ希薄になってきています。しかし、問題の本質は何ら変わっていないことは強く自覚しなければなりません。 
また、経済社会の発展、国民生活の維持・向上に必須であるエネルギーの安定供給という側面をみれば、石油危機当時、大きな課題として指摘された石油の中東依存からの脱却は、達成されないばかりか、今や石油危機直前よりも依存度は高くなっており、依然としてわが国のエネルギー基盤は極めて脆弱なものになっています。 
 加えて、アジア太平洋諸国は経済発展の途上にありますが、現在、経済停滞にあえいでいるものの、その潜在成長力を考慮すれば、今後、この圏内におけるエネルギー需給は極めて逼迫した状態になっていくことが予測され、エネルギー安全保障の確立はこれまで以上に重要な課題になってくるでしょう。 

(省エネルギー・新エネルギー技術開発の推進)
● オイルショック後、産業、企業は効率化、省エネルギーの懸命な努力により、結果としてわが国経済の体質を強化しました。機器自体やその生産過程においても世界的にも極めて高い効率性・省エネルギー性が達成されていますが、一層の改善、向上が強く求められています。しかし、温室効果ガス排出削減を産業側のみに求めることは、わが国製造業に対して過度な負担を強いることにもなりかねません。 国民もまた省エネルギーの意識に根ざしたライフスタイルへの大きな転換が求められます。個々人の行動を変えていくという、極めて難しい課題ではあるものの、必要な環境整備を含め政府、産業、国民が一体となった取り組みが求められています。同時に再生可能な新エネルギーの技術開発に世界各国と協力し推進することが必要です。

(エネルギーコストの低減)
● 他方、経済のグローバル化等に対応して、競争原理も活用し、事業者の一層の創意工夫を促すとともに、さらなる規制緩和を進めて、エネルギーコストの低減につとめていきます。但し、コスト削減がエネルギー消費増大につながらないように、環境調和とのバランスを図りながら、取り組んでいきます。

● このように、わたしたち国民には地球環境問題への対応、経済成長、エネルギーの確保という極めて難しい課題の同時解決を迫られていることをまず認識しなければなりません。 これらを踏まえれば、われわれの取るべきエネルギー政策は需要と供給両面からのアプローチが必要であり、最大限の省エネ施策とともに、既存の化石燃料の利用効率の一層の向上、天然ガスなどCO2排出原単位の小さい燃料へのシフト、すべての原子力施設の安全性向上と将来の技術的ブレイクスルーを期待する再生可能エネルギーの開発と普及、環境・安定供給・経済性のバランスのとれた実現可能な政策を進める以外、選択の余地はないと言えましょう。 あらゆる方策を講じつつ、実効ある地球温暖化ガス排出抑制とともにエネルギーセキュリティの確保を図ることを明確にしなければなりません。これら努力の結果、ひいては地球規模的な問題解決への貢献につながり、研究開発、技術支援などによって国際社会の中で、わが国の存在意義を高めることにもなります。


2.基本方針 

(1) 国民が将来にわたって安定し、安心して暮らせるための持続可能な循環型経済社会の構築を目指し、経済発展、生活水準の向上、環境保全の達成を第一義とします。 
(2) エネルギー資源を持たないわが国は、国民生活と日本経済を維持するため、国の責任において、石油やLNGを含め必要なエネルギーの安定確保に努めます。 
経済の発展(Economy)・環境保全(Environment)・エネルギーの確保(Energy)の対立する課題の同時達成(トリレンマの解決*)を目指したエネルギー供給源のベストミックスを追求していきます。 
(3) 地球規模での環境保全を実施するため、世界各国と協調し、気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)の決定を遵守し、わが国のエネルギー多消費につながる社会慣習や生活慣習、ならびに経済活動全般についてさらなる見直しを行い、省エネルギー国家を目指して努力するとともに、省エネルギー関連の技術開発や研究投資を強化します。 
(4)エネルギーの安定的確保、地球環境問題への対応、新産業創造・新雇用創出、新しい経済産業社会の確立等に向けて、新エネルギーは極めて重要な役割を果たすべきものと考えます。そのため、新エネルギーを、21世紀を切り開く不可欠な存在と位置づけ、自然条件、経済性、需要の確保などの問題点を克服しつつ、その開発・導入を積極的に推進し、新エネルギーの割合を最大限に高めることに努めます。
(5) アジア諸国のエネルギー確保に協力するとともに、環境対策、省エネルギーの推進、および、原子力発電所の安全性向上、再生可能エネルギーを含むエネルギー利用のための技術支援、技術移転など国際協力を積極的に行います。 

*トリレンマの解決 
 経済発展・環境保全・エネルギーの確保の3つの問題はトレードオフの関係にあるためトリレンマと呼ぶことができる。 

3.具体的政策 

(1) 省エネルギーの総合的推進
@ 省エネルギー対策の強化 
 大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済社会から持続可能かつ循環型の経済社会への転換を目指しつつ、産業、企業をはじめ国民生活全般にわたり合理的なエネルギー使用を達成するための省エネルギー対策を実施します。 
(a) 付加価値のある省エネルギー産業構造への計画的な転換をはかるため、実効ある政府の誘導政策を体系的に進めるようにします。 
(b) 省エネルギー法による規制的誘導措置、予算・税制面からの助成措置を強化します。 
 家屋の断熱性能向上を図るため建築基準法などの見直しによる規制的誘導措置を行います。 
(c) エネルギー利用の効率を図る上で、負荷平準化対策をさらに強化します。特に電力の負荷平準化のための蓄熱システム、ガス冷房などの普及促進に努めます。 
A 省エネルギー技術開発の強力な推進施策の展開 
(a) 省エネルギー技術開発を本格的に推進するため、高効率ガスタービン、電磁流体発電(MHD)、廃熱利用技術、超伝導技術、燃料電池およびコジェネレーションシステム開発、新型電力貯蔵システムなどの大型省エネルギー技術開発については、ナショナルプロジェクトとして積極的に推進し、民間分野に対しても研究開発促進施策を積極的に展開します。 
(b) 省エネルギー性を高めた建築物の技術開発、普及のための助成措置を強化します。 
(c) 省エネルギー型民生用機器の開発促進のため、技術開発に対する支援策を強化します。 (d) 運輸部門における省エネルギーを図るため、クリーンエネルギー自動車の技術開発に対する支援、普及支援措置とともに、効率的な交通インフラの構築や都市計画のための研究を強化します。 
B 環境エネルギー教育の強化・徹底 
 持続可能な循環型経済社会に向けたライフスタイルの見直しと意識の改革を図るため、新たな国民的価値観の創造を目指すとともに、国民から企業に至るまでバランスのとれた環境エネルギー教育、啓蒙活動を推進します。 
 特に学校教育においては、省エネルギーを含めた環境・エネルギーに関する講座を必須科目とするなど初等教育から大学教育を含むあらゆる教育機会において、環境エネルギー教育を徹底させます。 
また、省エネルギー関係の情報提供などの措置の強化などに努めます。
C 温室効果ガス削減対策の徹底
わが国は2010年度のエネルギー起源のCO2排出量を概ね1990年度レベルに安定化させる計画を立てていますが、わたしたちは上記@〜Bの対策を通して温室効果ガス削減対策の更なる徹底・強化を図り、エネルギー起源のCO2の排出削減のみによって地球温暖化防止に向けた国際公約の実現につとめます。

(2) 新エネルギーの研究開発と普及ならびに国際貢献 
 再生可能エネルギーの役割を高めるためには、技術の進歩、効率の向上によるコスト低減、信頼性の向上、エネルギー貯蔵技術の確立、既存のエネルギーシステムへの組み込みなどの課題を克服しなければなりません。もっとも可能性の高いと思われるエネルギーに焦点を当て、基礎研究への一層の公的支援が望まれます。また、ある一定規模までの普及に対する支援措置が必要です。 
 太陽光発電、風力・波力・地熱発電、海水揚水発電および燃料電池、大容量蓄電池などの研究開発と普及は一段と進めるべきです。また、核融合、水素エネルギーの利用も技術開発が継続されなければなりません。低温超電導はそれらのエネルギー利用を飛躍的に拡大させる可能性を持っています。また、消費パターンを大きく変える技術などにより、エネルギー源に限定しないアプローチが同様に必要です。 
@ 技術的ブレイクスルーが期待される再生可能エネルギーを中心とした新エネルギーの実用化の研究開発を国家的に推進するとともに、省エネルギー技術開発等も含む総合的研究機関となるよう、新エネルギー・産業技術研究総合開発機構を強化・拡大します。 
 また、国際連携も充実させるとともに、普及促進のための優遇政策を実現します。 
A 核融合などの未来エネルギーの研究開発を国際連携を図りつつ、積極的に推進します。 
B 再生可能エネルギーの利用技術の研究開発を進めるとともに、アジアの発展途上国への技術支援、ODA等の活用による資金支援などの国際貢献策を進めます。
C 風力、太陽熱・光、バイオマス(木質バイオガスを含む)、波力エネルギーなどの自然エネルギーからの電気の買取りを一定の条件の下に積極的に推進し、優遇、財政措置などの施策実現を目指し、燃料電池、RDF発電の研究開発を促進します。
D 先人の知恵に基づいたエネルギーの節約(雪・氷・太陽熱利用など)に関する実用化につとめます。

(3) エネルギー計画の策定とエネルギー安全保障の取り組み 
 わが国のエネルギー安定供給の確保を図るため、基本的に、非化石エネルギーを指向しつつ、多様なエネルギーのベストミックスを追求していきます。 
 電力供給に関する計画は、地球規模でのエネルギー環境の変化や、供給者の多様化や環境問題を十分配慮し、各発電技術の技術的安定性、安全性、環境適合性、経済性などを総合的に評価し、策定します。 
 また、エネルギー計画の策定にあたっては、専門的な議論を尽くすとともに、広く国民的論議を喚起し、国民的理解を得るよう努めます。長期エネルギー需給見通しについては、国会において審議するようにします。 
さらに計画の遂行上、エネルギーの安定供給を確保するために、エネルギー資源の輸入先の分散化を始め、外交的な努力を傾注しつつ、エネルギー安全保障を確立します。 

(4)水力発電の有効利用 
水力発電は古くから日本固有の貴重なエネルギー源です。既設水力発電所の安全性、安定性向上に努めるとともに、自然環境に充分配慮しながら小規模水力発電所の技術開発などを推進します。

(5) 石炭の有効利用 
石炭は、煤塵、SOx、NOxなどのほか、原単位におけるCO2の排出量が他の化石燃料に比べて最も多いため環境特性が劣る資源ですが、その埋蔵量は膨大であり、エネルギーセキュリティ上、有用な資源でもあります。したがって、環境負荷低減のための技術開発を積極的に進め、有効利用を図ります。 
@ 石炭ガス化技術等クリーンコール技術の実用化に向けた研究開発の促進 
 SNG(合成天然ガス)化技術の実用化研究、IGCC(噴流型床石炭ガス化複合発電)、USC(超超臨界圧発電)の開発を進めます。 
A 高効率発電の利用促進 
 石炭ガス化複合サイクル発電を導入した火力発電所の建設を促進します。 
B 国内炭鉱技術の維持・向上 
わが国の炭鉱における炭鉱技術は世界的にも高く、将来の海外炭鉱の深部化・奥部化に伴う生産技術や保安技術等についての国際協力が期待されていることから、炭鉱技術の維持が必要です。したがって、国内2炭鉱を存続させるために努力します。

(6) 天然ガスの一層の利用拡大 
@ 天然ガスは化石エネルギーの中でCO2の排出原単位が小さいことから、地球温暖化防止に有効であり、気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)でわが国が約束した温室効果ガス排出抑制の目標達成のためにも、普及促進を図っていきます。このため、LNGの利用拡大を進め、LNG火力発電所建設、都市ガス利用拡大などを進めます。また、国内における利用環境の整備のため、LNG基地ならびに国内パイプライン網の建設、LNGタンカーの国内建造などを積極的に促進します。 
A サハリン等の天然ガス開発については、その経済性、供給安定性等幅広い観点から検討するとともに、パイプライン網整備と併せ、経済性、供給安定性が確保できる場合には具体的な適用法規の検討も含め積極的な開発支援を行っていきます。
B 天然ガスの需要は、都市ガス需要の増大、都市ガスの天然ガス化の進展に伴う需要増から、今後も増加すると見込まれています。安定供給の確保に努めるとともに、都市ガス業界の天然ガスを中心とした高カロリー化を推進します。 
C ガスコジェネレーション、ガス冷房など都市ガスの利用拡大を進めます。今後、特に、ガス利用による家庭用高効率機器の開発に努め、この普及促進を図ります。 
D 天然ガスの普及促進並びに地球環境問題への対応から、クリーンエネルギー自動車である天然ガス自動車も積極的に導入するとともに、その普及拡大に向けた環境整備を行っていきます。 

(7) 石油の安定的確保 
@ 外交、経済協力、投資、貿易、共同事業などによる「産油国との協力関係の推進」と、国際石油情勢の共通認識、情報共有、緊急時施策の充実・連携強化などの「アジア諸国との政策協調」を進めます。 
 また、石油に対する依存度を低下させる施策を進めます。 
A エネルギーセキュリティ確保の面から、政府間取引および民間による入札取引など、輸入方法の多様化ならびに輸入地域の多角化を図ります。 
B わが国周辺の大陸棚開発の推進をはかるため、国の基礎調査を行うとともに、開発の円滑な推進に必要な資金の確保、開発技術の向上、漁業権の補償、海面汚染の防止など開発関連施策の充実を図ります。 
C わが国の石油供給の相対的脆弱性からすれば、緊急時に備えた石油備蓄の重要性は高まっており、国家備蓄、民間備蓄を合わせたわが国全体の備蓄水準を国際協調の観点からも欧米の主要石油消費国の平均水準まで引き上げることが必要となっています。そのため、民間石油会社の余剰タンク等の設備の活用等を促進します。
D 石油産業の体質強化は、石油の安定確保と効率供給をはかるためにも喫緊の課題です。このため過剰設備の処理を含む製油所の国際競争力の強化、ならびに、物流・流通機構の改革等を推進するとともに、適正な競争環境下の民間活力の発揮、国際化の観点から、石油産業が健全に発展するよう構造改革を進めます。 
E 環境対策として、軽油の深度化脱硫やガソリンのベンゼン除去設備などの設置などをさらに促進するとともに、一層の低硫黄化などの対策を進めます。 
F 石油の自主開発は、わが国のエネルギーセキュリティの確保に役立っているか十分な検証を行い、そのあり方を検討します。自主開発事業を進めるにあたっても、世界的な鉱区開放の流れに対応して中東以外の地域への対象を広げつつ、情報公開等により国民の理解と事業の透明性を確保し、開発事業にかかる資金の貸付、債務保証などの諸条件を改善し、プロジェクト別成功払い制度の拡充・強化をはかります。

(8) 原子力の平和利用 
 原子力発電は、気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)においてわが国が約束した温室効果ガス排出抑制の目標達成のためにも重要なエネルギー源であり、エネルギー供給の太宗を担いうる核融合など代替エネルギーの開発・実用化の時代までの橋渡しの役目を担う、中長期にわたるエネルギーを確保する上で重要な資源です。 
 しかしその利用については、あくまで平和利用が原則であり、かつ、その開発、利用にあたっては、安全性の確保と国民の信頼と安心が最優先されなければなりません。 
その一方で、TMI事故、チェルノブイリ事故、そして国内では動燃の一連の不祥事等により安全性に対する国民の信頼が大きく揺らぎ、さらには最近のJCO臨界事故により周辺産業の安全性や行政の安全規制と防災体制に重大な不備があったことが技術先進国と位置づけられていたわが国において露呈し、国内外に衝撃をもたらしました。わが国の資源エネルギー環境に関わる理解促進はもとより、原子力産業全体の安全基準の絶対的な遵守の風土(安全意識)の醸成とともに、フェイルセーフ(誤作動による危険の回避)の思想を徹底させ、インターロックシステム(誤操作防止)に守られた高度な設備安全性の維持、発電プラントや各種加工施設、処分施設等の信頼性向上、保守基準の強化、廃棄物管理・処分の研究および開発が必要です。
あわせて、関連施設に働く人たちの高いモラル、そして何よりも安全に対する高い意識を育てていくことも重要です。
 また、核不拡散、セキュリティの確保とともに、資源の有効利用のため、核燃料サイクルの研究開発を進めるとともに、当面、MOX燃料の利用を認めます。 
また、安全意識醸成のためのあらゆる施策とともに、安全性向上に関する教育・訓練などの支援策を進めることが重要であり、さらには原子力利用を進めようとしている周辺諸国への支援策の推進もアジアにおける先進国としての責務です。

 以上のことから、今後、次の原子力政策を重点に推進します。 

@ 原子力安全を確保し、原子力防災体制強化を図るためには、8条機関の原子力安全委員会を3条機関の原子力安全規制委員会へ改組して機能と権限の強化を図り、独立性を確保するとともに、原子力工学だけでなく、危機管理や人間工学、放射線医学、心理学等幅広い専門家の登用や公正な判断ができる専門的な技術・知見を有する委員の選出など、安全の原子力安全規制委員会への一元化による安全チェック機能の強化・充実を図ります。
また、新たに設置される原子力安全規制委員会のスタッフについても、設備、運用、人材のみならず被曝管理やPAなど幅広い原子力行政を一括して行えるよう、原子力工学のみならず、放射線医学、社会心理学、環境、労働衛生などの幅広い人材の登用が望まれます。
A 原子力は地球環境問題への対応とともにわが国エネルギーセキュリティの要であるため、その推進は国の責任により進めるものであり、原子力に関係する設備・施設の立地は国の責任の下に進め、事業は電力会社が社会的責任と事業責任を持って進めるものとします。 
B 原子力発電所が立地する地域の住民の安心と信頼を得るため、わかりやすい情報提供や情報公開の原則に基づく情報開示の徹底を図る原子力情報公開ガイドラインを設定します。 
C 各発電所や核燃料サイクル関連施設に配置されている運転管理専門官の原子力防災に関する対応能力を向上させるとともに、事業者および自治体の防災能力を向上させるため、原子力防災センターに原子力防災の知識を有する原子力防災専門官を配置するなど、実効ある原子力防災体制の確立を図ります。
D 原子力施設立地に関する公聴会制度を国民の建設的、合理的な意見を反映させるよう、中央公聴会では原子炉や設備本体の安全性について、地方公聴会では環境保全と安全対策を中心課題とするよう改めます。 
E ウラン資源の有効利用、長期利用の観点から、安全の確保を前提として、使用済燃料の国内再処理事業を進めるとともに、核燃料サイクルの研究開発を進めます。 
 加えて、高レベル放射性廃棄物の処理・処分技術、廃炉技術については、先進諸国と協力し、技術的安全性、安定性、信頼性の確立に一層努めるとともに、徹底した情報公開と国民との対話により、理解と信頼を得るよう努めます。 
 さらに、長半減期核種の分離・消滅技術の研究開発を進めます。 
F 原子力発電所の使用済燃料の再利用、すなわちプルトニウムの再利用は、MOX燃料および高速増殖炉等の研究開発用として使用計画のある分量のみを抽出することとし、その他の使用済燃料は、中間貯蔵・一時保管するものとします。 
G わが国の原子力開発は、省エネルギー、新エネルギーの開発に積極的に努めながら、当面、気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)における温室効果ガス排出削減目標達成を考慮したものとする。それ以降は、安全性確保のため老朽化の進んだものを廃炉にし、供給力確保を前提としつつ、それを代替する新規原子力発電所の建設を認めます。 
H 電源三法に基づく立地点への交付金交付について、立地および隣接する地方自治体が自由に活用できる弾力的な運用を可能にするとともに、人材育成や地域の生活環境基盤、高齢化社会をにらんだ高度福祉地域社会の形成に重点的に配分される制度とします。 
I わが国の原子力に関わる行政、事業者、従業員などあらゆるレベルにおける一層の安全意識の醸成とともに、原子力開発を計画しているアジア諸国での「安全に関する認識」の定着と技術支援のためのASIATOM(アジア地域における原子力開発の安全技術支援のための国際組織)を創設し、原子力分野におけるわが国の国際貢献を進めます。 

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